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子どもに多い水いぼ!原因・治療・プール対策まで完全解説

[2024.11.07]

今日は「水いぼ」についてお話ししていきたいと思います。水いぼは、特に小さなお子さんを持つ親御さんにとっては心配の種となることが多い皮膚疾患です。小さな白いぶつぶつが子どもの体に現れると、「これは一体何だろう?」と不安になる方も多いかと思います。今日は、そんな水いぼについて、原因から治療法、そして予防策まで詳しく解説していきます。
あと、お子さんに水いぼがあらわれたときによく聞かれる「プールは入っても大丈夫ですか?」など、診察でよく聞かれることについても解説いたします。
以下のブログの内容はYouTubeでも解説しております。よろしければご確認ください

水いぼとは?

まず最初に、水いぼがどういったものかを理解していただきたいと思います。水いぼの正式名称は「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」で、ウイルス性の皮膚疾患です。この病気は、名前の通り非常に感染力が強く、特に幼児や学童期の子どもたちによく見られます。水いぼは、肌色から白色の小さな丘疹(ぶつぶつ)として現れ、表面はつるつるしており、中央がくぼんでいることが特徴です。このくぼみがあることで、水いぼかどうかを見分ける手がかりとなります。
水いぼは、1つや2つだけでなく、放置すると次第に数が増えていくことが多いです。初期段階では、ほとんど症状がなく、痛みやかゆみを伴うことも少ないため、気づかないうちに広がってしまうことがあります。しかし、時にはかゆみが出たり、子どもが無意識に引っ掻いてしまったりすることで、感染が拡大することがあります。また、引っ掻くことによって、他の部分にも広がったり、二次感染を引き起こすことがありますので注意が必要です。

水いぼの原因

水いぼの原因は、「伝染性軟属腫ウイルス」というポックスウイルス科のウイルスです。このウイルスは、人から人へと簡単に伝染する特性を持っています。例えば、直接肌が触れ合う場面、共用するタオルや衣類を通じて感染することが多いです。特に子どもたちが多く集まる保育園や幼稚園、プールなどの環境では、接触する機会が多いため、水いぼが広がりやすいと言えます。
また、免疫力が低下している人や乾燥肌やアトピー性皮膚炎の人は、水いぼに感染しやすいとされています。アトピー性皮膚炎があると、皮膚のバリア機能が低下しているため、ウイルスが侵入しやすくなるのです。免疫不全を持つ患者や、免疫抑制剤を使用している患者も感染しやすいです。特に大人で巨大な水いぼができる場合、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症を疑い検査することもあります。
感染した場合、ウイルスが体内で増殖し、数週間から数ヶ月の潜伏期間を経て水いぼが現れることが多いです。そして、一度現れると自然に消えるまでには数ヶ月から1年以上かかることが一般的です。

水いぼの診断方法

水いぼの診断は、通常、外見上の特徴から行われます。皮膚科医が視診することで、その独特な形状と中央のくぼみを確認します。時には、他の皮膚疾患と区別するために、皮膚の一部を採取して細胞の検査をする皮膚生検が行われることもあります。特に大人の場合はみただけでは診断が難しい事があります。

水いぼの治療法

水いぼは、基本的には自然治癒が期待できる疾患です。多くの場合、放置しておいても6ヶ月から2年以内には自然に消えてしまいます。しかし、その間に他の部分に感染が広がったり、後で話しますが、プールのために治療を希望される方もいらっしゃいます。

1. 自然治癒を待つ

1つ目の治療は、自然に治癒するのを待つことです。水いぼが自然に消えるのを待つことは、子どもにとっては負担が少なく、皮膚を傷つけるリスクも避けられる方法です。ただし、広がったりする場合はあります。

2. 鑷子で除去する

2つ目の治療は、専用の器具を使って水いぼを物理的に除去する方法です。痛みが強いので、治療前に麻酔クリームを塗布する場合もあります。処置後のケアも重要で、傷口を清潔に保ち、感染を防ぐために抗生物質の軟膏を使用する場合があります。この方法は、即効性があるため、見た目を早く改善したい場合に適していますが、小さいものは取りきれない場合が多いという事と、とっても再感染することはよくあります。

3. 凍結療法

3つ目の治療法として「凍結療法」があります。これは液体窒素を用いて水いぼを凍結し、組織を破壊して取り除く方法です。この方法もやはり痛みがあることと、鑷子で取り除く場合よりも複数回行う必要があります。

4. 塗り薬による治療

他の治療法としては、塗り薬も治療に使用されることがあります。免疫反応を活性化させ、ウイルスに感染した細胞を攻撃することで水いぼを治癒させます。これらの塗り薬は、痛みを伴う治療を避けたい場合や、家庭での治療を希望する場合に適していますが、効果が弱いことと、保険が効かない自費の治療になります。
水いぼの予防法水いぼの感染を防ぐためには、皮膚の状態を良い状態に保つのが、一番大事です。皮膚が乾燥しないように保湿をしっかりと行うことが大切です。乾燥した皮膚はバリア機能が低下し、ウイルスが侵入しやすくなります。通常の水いぼは赤くならないですが、炎症があると赤くなります。自然に治る際も赤くなりますが、二次的に湿疹ができたり、ばい菌がはいってしまうと赤くなります。特に乾燥肌の人やアトピー性皮膚炎の人はうつりやすいので、保湿や湿疹のコントロールがとても大事です。水いぼは直接触ったり、タオルや衣類を介しても感染します。兄弟間では、とても感染しやすいと思います。できるかぎりタオルを共有しないようにし、個別のものを使用するようにしましょう。ただ、現実的に兄弟間で触れ合わないようにするのは難しいので、ある程度は仕方ないと割り切るのも大事です。それよりも、先ほど言ったように、肌の状態を良い状態にたもつのがとても大事です。

水いぼに関するよくある質問

最後に、視聴者の皆さんからよくいただく質問にお答えしたいと思います。

質問1: 水いぼを潰してしまった場合はどうすればいいですか?

水いぼを誤って潰してしまった場合、まずは石鹸と水で患部を洗い流してください。潰した後にじゅくじゅくしたり、膿が出るなどの炎症症状が現れた場合は、皮膚科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

質問2: 大人も水いぼにかかることがありますか?

はい、大人でも水いぼに感染することがあります。特に、免疫力が低下している場合や、皮膚に傷がある場合には注意が必要です。大人が水いぼにかかると、自然治癒までに時間がかかることがあります。先程も言ったように、診断が難しい場合があり、皮膚を切り取る検査が必要になる場合があります。水いぼ自体が問題というよりは、免疫が下がっていないかが心配で、HIVの検査をしたり、内蔵の検査をしたりする必要があります。

質問3: 子どもが水いぼにかかった場合、学校や幼稚園に行かせても大丈夫ですか?プールは入って大丈夫でしょうか?

水いぼ自体は、法的に出席停止が必要な病気ではありませんので、学校や幼稚園に行っていただいて問題ありません。一番質問が多いのが、プール入って大丈夫でしょうか?という質問です。基本的にプールに関しても法律の規制はありません。先ほど話したように直接水いぼができている肌に触るとうつってしまいます。またプールのビート板やタオルからもうつると言われています。それなので法律はありませんが、プールのルールとして水イボをとったら、プールに入っても大丈夫だと決めているところが多いです。そのため、プールに入りたいから水イボをとってくださいといって水イボをとってください、と来院される方が非常に多いです。もちろんプールのルールを守っていただくしかありませんが、そもそも水いぼをとると感染させないと言う根拠があまりはっきりしません。当然ウィルスは目で見えないので、水いぼを除去したあとに、ウィルスが肌にないかどうかなんて誰にもわかりません。ですが、何故かそういうルールが昔からありますので、プールの責任者と相談していただくしかありません。現在では、ラッシュガードをつければ大丈夫というプールもあります。

まとめです。
今回は水いぼについて詳しくお話ししました。水いぼの治療として水いぼ用の鑷子で取ると言う話しをしましたが、現在、当院ではやっておりません。麻酔するから痛くないよーと言っても、ほとんどのお子さんが暴れます。それを押さえつけながら処置をすると言うのは、子供にとってはとても怖いのではないでしょうか。そういうことで当院では基本的には経過観察をすることが多いです。もちろん二次的にばい菌が入ったりとか、湿疹がひどい場合はばい菌の治療をしたり、湿疹の治療をしていきます。水いぼを取る取らないについては、医師の間でも意見が分かれています。もちろん私が必ず正しいとは思っていません。ただ、繰り返しになりますが、何の根拠もないのに、水いぼを鑷子でとったら、プール入っていいとなっているプールがありますので、プール入れないと困るのでとってくださいという親御さんがたくさんいます。それが非常に問題があると思いこのブログを作りました。

当院の水いぼページ→

この記事を執筆した人
生垣英之
生垣英之

信州大学皮膚科 入局
佐久総合病院皮膚科
信州大学皮膚科
長野赤十字病院皮膚科(科長)
大宮皮膚科クリニック院長
こだま皮膚科院長
古河いけがき皮膚科 開院

皮膚科診療歴20年以上。年間3万人以上の診察を行い地域医療に貢献。YouTubeでは皮膚科疾患について詳しく解説をしています。

院長
生垣 英之
診療内容
一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
TEL
0280-31-1217
※自由診療予約はweb予約をご利用ください
住所
〒306-0003
茨城県古河市緑町54-33
最寄駅
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