膠原病の皮膚症状を徹底解説！皮膚症状で早期発見を！膠原病皮膚症状１０選

[2024.11.07]

はじめに

今回は「膠原病の皮膚病変１０選」についてお話しします。みなさんは膠原病という病気を聞いた事がありますでしょうか？膠原病は、自己免疫疾患の一種で、全身にさまざまな影響を与える可能性があります。中でも皮膚は膠原病の影響を受けやすく、皮膚病変は診断や治療の重要な手がかりとなることがあります。今回は、膠原病に関連する代表的な皮膚症状やその対処法について詳しく解説していきます。
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膠原病とは？

まずは、膠原病について簡単にご説明します。膠原病は、自己免疫疾患の総称であり、免疫がおかしくなって本来敵が入ってきたときに攻撃するのに、間違って自分の体を攻撃することで発症します。膠原病には、全身性エリテマトーデス（SLE）、シェーグレン症候群、強皮症、皮膚筋炎などがあります。これらの病気は、関節や内臓、皮膚など、体のさまざまな部分に影響を与えます。
膠原病は、特定の原因が明確ではありませんが、遺伝的な要因や環境的な要因、感染症が誘因となることがあります。また、女性に多く発症し、疾患によりますが特に20代から40代の若い世代に多く見られます。

膠原病における皮膚病変の重要性

膠原病において皮膚病変が重要視される理由の一つは、皮膚が疾患の初期段階で影響を受けやすいからです。皮膚の変化は、膠原病の診断や進行状況を把握する上で非常に重要です。時には、皮膚の異常が最初に現れる症状となり、それが膠原病の発見につながることもあります。
皮膚病変の種類や出現部位は膠原病の種類によって異なり、特定の疾患に特徴的な皮膚症状が見られることが多いです。では、代表的な膠原病の皮膚病変について、詳しく見ていきましょう。
まず、有名なものとして、

１、蝶形紅斑

これは一番有名かもしれません。蝶形紅斑（ちょうけいこうはん）」と呼ばれる、鼻から両頬にかけて現れる蝶のような形をした皮膚の赤みです。これは、蝶が羽を広げたような形をしていることから名付けられました。かゆみや痛みはない場合が多いです。皮膚を触ると少し盛り上がっていることもあります。日光に当たることで悪化することがあり、日光過敏症がこの症状を引き起こす要因となります。
全身性エリテマトーデスにみられる事が多いですが、皮膚筋炎にもみられる場合があります。顎にかけてもみられる事が多いです。

２，円板状紅斑

これも全身性エリテマトーデスで見られる事がある皮疹で、名前の通り丸く円形に赤みがあります。丸く赤みがでる疾患はたくさんありますが、この場合さわるとやや固くなっているのが特徴です。これらは主に顔面、耳、頭皮に見られ、時間が経つと中心が瘢痕化し、跡が残ることがあります。この瘢痕化が進むと、頭部にできると永久的に脱毛が生じることもあります。

３，環状紅斑

これも丸く赤い皮疹ですが、円板状紅斑との違いは、辺縁部が盛り上がっている点です。顔にでることが多く、シェーグレン症候群に多くみられます。

４レイノー現象

レイノー現象っていう言葉を聞いたことがあるでしょうか？まず、レイノー現象とは何かを簡単に説明します。レイノー現象は、血管が一時的に収縮することによって手や足の指先が冷たくなり、白くなったり青紫色になったり赤くなったりして 10分ほどで正常に戻る症状を指します。これは、寒さやストレスが引き金となって起こることが多いです。特に女性に多く見られる現象で、全人口の約5〜10％が経験すると言われています。なった事がない人にはわかりにくいと思いますが、「指先の色が変わることがありますか？」と聞けばすぐに理解される事が多いです。ちなみにレイノー現象の予防には、

寒さを避ける：手袋や温かい靴下を着用し、寒冷刺激を最小限に抑える。
ストレス管理：リラックス法や適度な運動を取り入れて、ストレスを減らす。
禁煙：喫煙は血管を収縮させるため、禁煙が推奨されます。
血行を促進する：定期的に手足をマッサージしたり、温かい飲み物を摂ることで血行を促進する。などがあります。

膠原病でもこの症状がでることがあり、強皮症や全身性エリテマトーデスの方になる事があります。特に強皮症の方の半数はRaynaud 現象で発症するため膠原病の初発症状としてとても重要です。これは血流障害によって引き起こされるもので、レイノー現象が長期にわたって続くと、指先に潰瘍ができたり、壊死が生じることがあります。

５皮膚の硬化

文字通り皮膚が固くなってしまう病気があります。それが強皮症という病気です。強皮症では、まず手指や顔面に皮膚硬化が現れます。皮膚が厚く硬くなり、弾力を失い、触ると硬い感触があります。この皮膚硬化は徐々に全身に広がり、手指の関節が曲がりにくくなることがあります。また、顔面の皮膚が硬くなることで、表情が乏しくなり、仮面をかぶったように表情がなくなるため、「仮面様顔貌」と呼ばれる症状が見られることもあります。

６ヘリオトロープ疹

聞いたことがあまりないと思いますが、目の周り紫紅色の発疹の事をヘリオトロープ疹と呼びます。ヘリオトロープの花の色から名付けられています。この発疹は、まぶたの周りに出現し、目の周りが腫れぼったく見えることがあります。ヘリオトロープ疹は、皮膚筋炎の診断において非常に重要なサインです。通常は両側にみられます。

７ゴットロン徴候

皮膚筋炎のもう一つの特徴的な皮膚症状が「ゴットロン徴候」です。これは、手指の関節や肘、膝などの伸側に紫紅色の丘疹が現れるもので、しばしば皮膚が硬く、鱗屑が伴うことがあります。ゴットロン徴候は、皮膚筋炎を強く疑う際の重要な手がかりとなります。

８爪囲紅斑

爪囲紅斑とは、爪の周り、特に爪の根元や側縁に炎症が生じて、赤く腫れる状態を指します。これは、爪を囲む皮膚に炎症が発生し、通常は局所的な刺激や感染、自己免疫反応などが原因で起こります。この状態は痛みを伴うことがあり、放置すると爪の変形や爪が落ちるといった深刻な問題に発展することもあります。
爪囲紅斑の原因にはさまざまな要因がありますが、そのうちの一つに膠原病があります。皮膚筋炎や全身性エリテマトーデスでこの症状がみられます。特に皮膚筋炎では高頻度で見られますので、診断的価値が高いです。

９網状皮斑

網状皮斑とは、皮膚に網目状または大理石模様のような模様が浮かび上がる状態を指します。この模様は、皮膚の血管が異常に収縮したり拡張したりすることで現れます。通常は、寒さにさらされたときや、血液の循環が悪くなったときに見られることが多いです。特に四肢（手足）に発生しやすいですが、体の他の部分にも現れることがあります。網状皮斑の原因にはさまざまな要因がありますが、そのうちの一つに膠原病があります。全身性エリテマトーデスでこの症状がみられます。

１０光線過敏症

日光に当たると肌に異常が現れるという方はいらっしゃいませんか？それはもしかすると、光線過敏症かもしれません。光線過敏症について話します。通常の光、特に日光に対して皮膚が異常に反応する状態を指します。日光に当たると肌が赤くなったり、かゆくなったり、さらには水疱ができることもあります。これらの症状は、通常の人ではあまり見られない過剰な反応であり、時には日常生活に支障をきたすこともあります。
光線過敏症の原因はさまざまありますが、そのうちの一つに膠原病があります。全身性エリテマトーデスや皮膚筋炎でこの症状がみられます。具体的には日光を浴びると元々あった皮疹が増悪したりします。対処としては、日に当たらない事になるので、日焼け止めを塗ったり、帽子や、長袖、手袋、日傘が大事になります。大事なのは日焼け止めの塗り方についてです。日焼け止めを塗っていますか？って聞くと「塗っています。」と答える方が多いですが、じゃあ「何回塗っていますか？」って聞くと「朝１回です。」って答える方が多いですよね。汗や摩擦で日焼け止めは取れてしまい時間経過とともに効果が下がってしまいます。
特に、朝１回日焼け止めを塗ったからと言って安心していると、日差しが強い午後には無防備になっている状態で日焼けしてしまう可能性があります。数時間に1度は塗りなおすのが、理想です。他には塗る場所ですね。顔は塗る方が多いですが、手や首の後ろも忘れずに塗りましょう。

まとめ

今回は膠原病の皮膚病変１０選について話しました。そもそも膠原病は皮膚病変と発熱や関節痛などの内科的な症状と血液検査などを組み合わせて診断する病気になります。あと冒頭でもお話ししましたが膠原病はいろいろな病気を合わせて膠原病と呼んでいるだけです。それぞれの病気によって症状が違いますし、治療も異なります。いくつかの病気が合わさってしまう場合もあります。膠原病そのものについてブログを作るとなるとものすごく長くなってしまうますので、膠原病の皮膚病変のみに焦点を当てて今回お話ししました。膠原病は長期間かけて治療していく病気になります。早めの診断が大事になることもあります。皮膚症状のみから膠原病の診断に結びつくこともありますので、お話しした代表的な皮膚病変に少しでも思い当たることがあれば皮膚科を受診してください。