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爪の病気は水虫だけじゃない?爪が白い時や爪が黒いとき、皮膚科医が解説する爪のよくある勘違い4選

[2024.01.12]

皆さんふとご自分の爪を見て、これは病気かな、とびっくりしたことはありませんか?

爪も皮膚の一部です。 皮膚科では毎日色々な爪の疾患の方がいらっしゃいますが、そんな方たちを診察していると、よく「勘違いしているな~」と思うことがあります。

今回は、そんな医療の現場で起こっている爪疾患に対する勘違いを大きく4つお話していきたいと思います。

今回のブログをみていただくと、よくある爪の病気の知識が身について、正しく対処する一助となるかと思います。

以下のブログの内容はこちらのYou Tube動画でもお話しています。よければこちらもご確認ください。

 

1つ目 爪が白いからと言って必ずしも水虫ではない


爪の病気は本当に様々です。

よくある勘違いの一つが、爪が白いイコール水虫と考える事です。確かに、爪の水虫の場合、爪が白く厚くなる事が多いです。ですが必ずしも、水虫というわけではありません。

爪が白くなっている場合、例えば次の原因が水虫の他にも考えられます

爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)と言って爪がういてしまい白く見える事があります。爪甲剥離症の原因は不明な事が多いですが、原因の一つとして考えられるのは、老化に伴う乾燥状態が続くことや、洗剤などの化学物質の刺激や外傷、カンジタ感染、爪への外力、またマニキュアなど薬剤の慢性的な使用が原因となることもあります。

  
あと、足の小指の爪は爪水虫でなくても、常に当たることによって、ボロボロになり白く見える事があります。親指や人差し指も靴などに当たる事により、爪の先端が割れたり、厚くなることにより、白く見える場合があります。

圧迫の少ない靴を履くように心がけましょう。

他には手足のすべての指が白くなる場合は、肝硬変などの病気によって白くなる場合があります。

爪の中央がガサガサして白く見える場合などは、乾癬などの他の皮膚疾患によってなる場合もあります。


このような疾患が考えられるため、爪が白くなるのがすべて水虫というわけではありません。

水虫かどうかは真菌検査と言って、爪の一部をとり、溶かして顕微鏡で水虫である白癬菌がいるかどうかを調べてみないとわかりません。


よく患者さんから、「爪が白くなり水虫になったんで治療してください」と言われる事があります。

そんな方にまず水虫の検査をしようとすると驚かれる事がありますが、まず水虫かどうかを検査するのが一番大事です。なぜなら皮膚科専門医でも肉眼でみただけでは、100%正確に診断するのは不可能だからです。自分自身も20年以上皮膚科医として、患者さんを診ていますが、検査をするようにしています。

医師でさえそうなので、皆さんが自己判断で水虫だと思い込み、市販薬などを使うことなどはとても危険です。

2つ目 爪が黒いからと言って必ずしも悪性ではない


爪が黒くなるのが、全て悪性ではありません。

よく患者さんから、「爪が黒くなると悪性のがんなんですよね?」と言われます。

爪に線状に黒く色が付く場合があります。

この時は、爪の根元に色を出す細胞が増えることにより、爪に黒い線が見えるようになります。

その場合、どのようにみていくかというと、その直線の黒い線の幅であったり、色が縦に均一かどうかや爪の周囲の皮膚に色がついていないかどうかをみて総合的にみていきます。このように診察していくと良性の事の方が多いです。

あと、子供の場合はほとんどが良性です。

大人の方で、縦の色ムラがあったり、爪の周囲の皮膚が黒かったり、数ヶ月でものすごく広がって来た場合などは要注意です。その場合は、爪の根元の細胞をとって検査しないといけない場合はあります。

いずれにしろ、経過をみていく事が大事です。
他には、爪が黒いです。と言われて診察して、ダーモスコピーといって、拡大する機械でみていくと、赤く見える場合があります。

これは爪甲下血腫といってぶつけたりしたときに出来る事があります。そういうと患者さんから、「ぶつけてません」と言われる場合もありますが、ぶつける以外でも靴がきつかったり、激しく運動したりした場合にもできます。これも多いです。

 

3つ目 足の爪が痛いからと言って必ずしも巻き爪ではない


足の親指が痛くなり、「靴に当たると足の指が痛いです。巻き爪ですよね?」と言われる場合があります。

足の親指の爪の痛みの原因としては、巻き爪より深爪の方が圧倒的に多いです。

深爪は爪を切りすぎて、爪が肉に食い込んでいる状態です。ところで、皆さん足の親指の爪を正しく切っていますでしょうか?

足の爪の長さは趾先と同じくらいにそろえ、全体的な形は角に少し丸みのある四角形に整えるのが理想的です。このような形を「スクエアオフカット」といいます。


ここが一番大事なポイントです。

爪の角を切りすぎて、深爪の原因となる事が非常に多いです。先端の爪を直角に切り、とがった角をヤスリなどで整えましょう。

正しい爪の切り方で深爪にならないようにしましょう。一回深爪になってしまうと、非常に厄介です。場合によっては、爪を一部切り取ってしまはないといけない場合があります。

爪がのびても痛みがある場合は、巻き爪が原因の事があります。その場合は色々な治療があります。自費治療になる場合もあります。
他の痛みの原因としては、細菌感染の事も多いです。爪周囲に熱感があり、赤く腫れて、触ってもいないのに痛みがある場合は、細菌感染の可能性が高くなります。その場合は、抗生剤の治療になります。

 

4つ目 爪の変化があるからと言って必ずしも内蔵の病気があるわけではない。


よく爪が変形したり色がついたりして、「どこか内蔵が悪いのでしょうか?」と言われる場合があります。確かに内蔵の病気で爪の変化がでる場合もあります。

例えば、有名なものとして、貧血でスプーンネイルと言って爪が反り返った状態になる事があります。

これがスプーンに似ているからこの名前がつきましたが、貧血以外の方にも起こります。

元々、爪の両側のふちを切りすぎてしまった場合や、指先に力の入る仕事をする人にも現れやすいです。

あと、幼児は裸足でいる事が多いため、足の親指がなりやすいですが、靴を履くようになると自然に良くなってきます。

貧血の中の鉄欠乏性貧血の方は、爪が正常の方より脆くなっているため、なりやすいと言われています。

他には、ばち状指といって、手足全ての指先が丸くふくらんで爪が指先を包むように大きくなってくる状態の事になる方がいます。

肺がんや、慢性の気管支拡張症でもなることがあると言われています。

手足の爪すべてが、黄色になる場合は、黄色爪症候群と言って、慢性の副鼻腔炎や気管支炎などでなる事があります。

甲状腺機能亢進症で爪が剥がれてくる爪甲剥離がおきたり、膠原病で爪の周りが赤くなったりする場合があります。

ポイントは内蔵疾患から爪の変化がでる場合はすべての爪にでることが多いということです。

なので、数本の指の爪の変化だけでは、そこまで心配しなくても大丈夫です。もちろんかなり複数の指の爪に症状がでる場合は、注意が必要です。
内臓病変以外では、手足口病にかかり1から2ヶ月後に爪が変形したり、はがれたりする場合があります。その後自然に良くなるためそれはあまり心配ありません。

まとめです。

今回は、爪に関するよくある勘違い4選について話しました。

1つ目は爪が白いからと言って必ずしも水虫ではないという話しをしましたが、爪水虫の場合、内服薬や外用剤になりますが、基本的に長期戦です。なぜなら、根本から先端まで爪が生えるのは、手で半年くらい。足は1年くらいかかるからです。

2つ目は、爪が黒いからと言って必ずしも悪性ではないでした。爪に黒い線がある場合は、一度お近くの皮膚科受診をしてください。

3つ目は、足の爪が痛いからと言って必ずしも巻き爪ではないでした。痛みがでるのは、圧倒的に巻き爪より深爪の方が多いです。爪の切り方がとても重要です。

4つ目は、爪の変化があるからと言って必ずしも内蔵の病気があるわけではないでした。全部の爪に変化が出た場合は、必ず近くの皮膚科を受診してください。

 

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