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アトピー性皮膚炎解説!正しい知識で健やかな肌を手に入れよう/アトピーの原因/薬/治療について

[2024.02.26]

こんにちは 茨城県古河市で皮膚科・美容皮膚科を開業しております、皮膚科診療歴20年以上の医師の生垣英之がおおくりします。

今回は、アトピー性皮膚炎の話しをしたいと思います。たびたび報道でもでていますが、アトピー性皮膚炎の患者さんが増えているというのはご存知でしょうか?最近では、日本では10人に1人はアトピー性皮膚炎ではないかとも言われています。そこで、アトピー性皮膚炎の正しい知識を広めるため、皮膚科専門医として、このブログを作成いたしました。

アトピーとは

アトピーの原因

アトピーの治し方

アトピーの治療薬

アトピーの市販薬

アトピー咳嗽とは

アトピーはうつるの?

アトピーの漢方薬

まとめ

こちらのブログの内容は以下のユーチューブでもお話しています。御覧ください。

アトピーとは

そもそもアトピーってどういう意味なのでしょうか?アトピーの語源は「奇妙な」という意味です。1933年アメリカの皮膚科医ザルツバーガーが、「アトピー性皮膚炎」という病名を提唱しました。

じゃあ、アトピー性皮膚炎ってどういう病気かというと、短く言うと、遺伝的な素因やアレルギー体質をもっている人が左右対称性にかゆみのある赤みやボツボツが半年以上続いている場合にアトピー性皮膚炎の可能性がありますっていう疾患です。

ちなみに乳児は2ヶ月です。なので、診断は結構あいまいな病気です。

よく診察のときに、「うちの子はアトピーでしょうか?」とか「私はアトピーでしょうか?」と聞かれますが、特にお子さんの場合は、経過をみていかないといけないと診断が難しい場合があります。一番言いたいのは、慢性疾患であるということです。ちょっと薬だしてすぐ治るよっていう病気ではないという事です。

 

 

アトピーの原因


アトピー性皮膚炎の原因は、アレルギー体質的なものと生まれつきの乾燥肌の両面が考えられます。

なので、一つの原因ではなくいろいろな原因がからんでいます。これがこの病気の難しいところです。生まれつきの乾燥肌については、角質の異常が言われています。皮膚は上から角質、表皮、真皮、皮下組織で形成されていますが、一番上の角質細胞間脂質である、セラミドが少ないと言われていて、これにより水分保持が弱く乾燥肌になりやすいとされています。

なので、治療のところでも話しますが、保湿が大事になります。


アトピー治し方


あと、「アトピー性の治し方を教えてください。」と言われる事がありますが、そもそも先程原因についても話しましたが、1つの原因ではありません。

なので、これをやれば必ず治ります。なんていうのはありません。繰り返しますが、原因が一つではないので当たり前です。

ただし、絶望しないようにしてください。特にお子さんの場合、年齢の経過とともに症状が軽くなっていくのが報告されています。

生後 4 か月に症状を認めてい たアトピー性皮膚炎の子供の 70%が 1 歳 6 か月で良くなっていたとの報告もありますし、16 歳を過ぎると 全体の約 90%が自然に良くなってきたとする報告もあります。ここまでは、子供の話しでしたが、成人でも、20 歳代をピークに次第に患者さんの数が減 少していき,40 歳代までに約 3 分の 2 が皮膚科を受診 しなくてもよい程度に改善していた。という報告もあります。

治療の時にも話しますが、3歳くらいまでの小さい子供の場合は特に自然に軽快するのが期待できるので、完全に治すというより、ひどくさせないようにする治療をするのが良いと思っています。

大人の方でも、治療のゴールは、他の塗り薬なしで、保湿剤のみで症状が安定していて、日常生活に支障ない状態を目指しています。

なので、治療としては

1,薬物療法

2,保湿剤やスキンケア

3悪化因子の除去の3つが基本になります。

アトピーの治療薬


では、薬物療法ではどのような薬を使うか説明していきます。先程話したように薬物療法はあくまで対症療法になります。
まずは塗り薬ですが、代表的なものはステロイド外用剤です。ステロイド外用剤というと一部の人は副作用を懸念すると思いますが、上手に使用するのが良いと思っています。

確かに、ずっと塗っていると副作用がでる事があります。特に顔はステロイドの吸収率が良く副作用が出やすい場所で、具体的には、ニキビみたいな発疹がでたり、顔が赤くなることもあります。

ただし、大量に塗らない限り、全身の副作用がでることはほとんどありません。そもそも、ステロイド外用剤は60年以上の歴史があります。もし危険な薬剤ならすでに大問題になっているはずです。ステロイド外用剤は虫刺されなどアトピー性皮膚炎以外でも使われます。

ちなみに私自身も使用しています。

塗る量がとても大事になります。よく言われるのが、第 2 指の先端から第 1 関節部まで口径 5 mm の チューブから押し出された量が両手のひらに対する2枚分の量とされています。

ただし、チューブの口径の大きさが違う場合もありますので、肌に薬を塗ったあと、ティッシュペーパーがくっつくくらいを目安にしてください。

ステロイド以外の薬として、効果が認められているのは、タクロリムス軟膏があります。

これも20年くらい歴史のある塗り薬です。これも良い薬ですが、少し難点があって、唐辛子の成分であるカプサイシンと同様の作用があるので塗った時にヒリヒリする点です。保湿剤などと合わせながら使用していきます。


私が医者になった20年以上前には、ステロイドがほとんどでタクロリムス軟膏が使用しはじめた頃でした。医学も進歩していて、その後デルゴシ チニブ軟膏(商品名コレクチム軟膏)とジファミラスト軟膏(商品名モイゼルト軟膏)の2つの薬が発売され小さい子どもにも使われるようになり、治療の選択肢が非常に広がっています。


内服薬は、痒みに応じて抗アレルギー薬を処方します。あくまでも塗り薬がメインです。塗り薬だけでは、コントロール出来ない重症の方には内服薬や注射剤があります。ただし、これらは注意しなければいけない副作用もあり是非病院で相談してください。これも昔では考えられませんでした。

非常に選択の幅が広がっています。

 

保湿剤やスキンケア


次に保湿剤やスキンケアの話しになりますが、アトピー性皮膚炎の原因の一つには、生まれつきの乾燥肌の話しをしたいと思います。

保湿剤は必須になります。

保険適応のあるヒルドイドやワセリンを処方します。くわしくは、ヒルドイドやワセリンのブログを参照してください。下にリンクを貼っておきます。

皮膚科では、ステロイド外用とセットで処方する事が多いです。両方の薬を混ぜて処方することもありますが、混合したからよく効くという事はありません。別々で重ねて外用できればそれの方が良いと思いますが、実際塗っていただくとよく分かると思いますが、非常に面倒です。塗り薬は塗らないと意味がないので、手間を省くために混合しているだけです。

もちろん保湿剤は市販薬でも大丈夫です。

塗りやすさも含め、自分にあった保湿剤を色々と試してください。この保湿剤でないとダメという事は全くありません。友達や家族が良かったからと言って、自分に合うかどうかは塗ってみないとわかりません。そもそもその保湿剤が全ての人によければそれしか売れません。

スキンケアについて

秋から冬にかけては、乾燥が強い人は、お風呂で体、手足を洗う際に石鹸をつけて洗うのは、足と陰部と脇だけにしてもらう場合もあります。余計乾燥してしまうからです。

もちろん個人差がありますので、全ての人には当てはまりません。なるべく洗浄力の弱いものを使ってもらうように推奨しています。お風呂から出た後は、なるべく早めに保湿をしてください。

悪化因子の除去

最後に悪化因子の除去ですが、これは人それぞれで違います。

ダニやホコリのアレルギーを持っている方は、部屋の掃除や布団を干したりなどで軽快する人もいます。

食事に関しては、明らかに食べて皮疹が悪化するもの以外は、食事制限は必要ないと思っています。ペットの犬{アトピー 犬}や猫に触ったり、飼っている家に行くと症状が悪化する人もいます。ただし、本当に一人一人違いますので、病院で相談してください。

痒みに対しては、基本的に冷やすのが良いです。家では、ケーキに付いてくる保冷剤などで冷やしたり、外では冷たいペットボトルなどで冷やすのが良いです。

これは血管が広がると痒みを増すヒスタミンなどが増えるので、冷やすことにより血管が縮みヒスタミンを抑制します。

あと、大人の方は意識して掻かないように心がけてみてください。子どもは当然無理です。

掻くなと言っても痒いんだよって意見が聞こえてきそうですが、全くその通りです。なので、塗り薬をしっかり塗っていきましょう。

「掻かないように」と言うのが悪い風潮もありますが、大人は掻かないで薬を塗るというのも大事と個人的には思っていますので、あえて言わしていただきました。気に触った人がいたら申し訳ありません。繰り返しですが、子どもは無理です。

よくある質問

皆さんから多い質問に答える形をとりたいと思います。かぶる部分もありますが、ご容赦ください。

アトピーの市販薬


アトピー性皮膚炎の市販薬はありますか?という質問を受ける事がありますが、基本的にステロイドの塗り薬は、先程話したように使い方が大事なので、病院で処方された薬を使った方が良いと思います。保湿剤は処方量の制限もありますので、市販のもので良いと思います。

アトピー咳嗽(がいそう)


アトピー咳嗽って何ですか?といわれる事があります。
アトピー咳嗽は1989年に日本から提唱された新しい疾患概念で、気管支喘息のような呼吸困難発作は認めませんが、咳だけが長く続く病気です。

アレルギーの関与が強く、のどに掻痒感(かゆみ、イガイガ感)を伴った乾いた咳を認めます。アトピー性皮膚炎に併発する事もあります。専門は呼吸器内科になります。

アトピーはうつるの?


アトピー性皮膚炎はうつりますか?という質問もされますが、うつりません。ただし、遺伝的な素因は関係しますので、うつるわけではないですが、ご両親がアトピー性皮膚炎の既往があるかどうかは聞きます。

アトピーの漢方薬


アトピー性皮膚炎に漢方は効きますか?と言われる事があります。ガイドラインにもありますが、基本的には、補助的に使用するのみです。

消風散と補 中益気湯(ホチュウエッキトウ)などを使う事があります。

 

まとめ


以上で、アトピー性皮膚炎のブログはおしまいです。

病院でアトピー性皮膚炎と言われたからと言って悲観的になる必要は全くありません。

自分が医者になった20年前に比べ、非常に薬の種類が増えました。

塗り薬もステロイド以外の選択肢も増えましたし、内服薬の新薬も使用できるようになりました。今後ももっと新薬がでると思います。

未来は明るいという事を伝えたいのもあり、ブログを作成しました。

ヒルドイドについて

ワセリンについて

 

 

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