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プロペト(ワセリンについて)

[2023.01.06]

今回はワセリンの正しい使い方について話したいと思います。

結論から言うとかぶれる事がほとんどなく、どこでも塗れてかなり使いやすい薬です。

ですが、乾燥が強い人には、保湿剤としてはヒルドイドなど保湿成分が入ったぬり薬に比べると効果がおちます。あと、脂分が多い肌の人には逆効果となる薬です。

ワセリンはあくまでも蓋をする薬になりますので、それに合った使い方をするという事になります。

以下の動画の内容はこちらのYouTubeでも解説しております。合わせて御覧ください。

ワセリンというのは何か?

ワセリンという薬をご存じない方もいらっしゃると思いますので、まずワセリンというのは何か?という事から話します。石油から精製された塗り薬で、肌の保護剤として使う事が多いです。

ワセリンも何種類かありますが、クリニックで処方が多いのは白色ワセリンとプロペトになります。両者にそれほど違いはなく、プロペトは白色ワセリンから不純物を取り除いたものになりますので、より透明な色で塗りやすいです。ちなみに市販もされています。

どんな時に使うのか

どんな時に使うかというと、皮膚を保護したいときに使います。軽いやけどや傷などに使う事があります。傷というのは、乾くと痛みが強くなります。膜を張って保護する目的で使います。ちなみにキズパワーパッドも同様で膜をはって保護して傷を治します。

 

ワセリンはかぶれる事がほとんどないため、とても使いやすいです。

他の使い方は?

他には、アトピー性皮膚炎の方の皮膚の状態が悪くなってしまった場合炎症が強い時、例えば虫刺されなどの肌が赤くなっている状態の時にステロイドなどと一緒に使うことがあります。

炎症をステロイドなどで抑え、その上で蓋をする目的で使います。使用目的を考えると、本来はステロイドとワセリンは別々に処方すべきだと思います。ただ、実際に薬を塗るとわかりますが、肌に薬を2重に塗るのは非常に大変です。そのため、2種類の薬を混ぜて処方することもあります。2重に問題なくぬれる方は、別々に薬を処方します。勘違いされている方が多いですが、薬を混ぜたからといって、ステロイドが薄まるという事はありません。ステロイドは副作用がでる事がありますので、医療機関と相談してください。自己判断で外用しないようにしてください。

 

他には乾燥を防ぐ意味で使う事もあります。粘膜にも使いやすいため、目の周囲や鼻や唇にも使います。特に花粉症があり、花粉の時期に主に目の周りが赤くなって、かゆくなってしまう人がいます。これを花粉皮膚炎と言います。ワセリンを目の周囲に塗ることによって、花粉が皮膚に直接つかず、症状をやわらげる事ができます。

 

 

また、唇にリップクリーム代わりとして使うのもおすすめです。小さいお子さんがいる方は、口の周りはよだれなどがつく事が多く、よだれは消化液なのでそのままにしておくと当然、肌が荒れます。そのため、ワセリンをぬっておくと保護できる事があります。ただし、お子さんの成長時期によっては皮脂分泌が過剰な時期がありますので、それは逆効果になる事があります。その場合も医療機関で相談してください。鼻をかみすぎて、鼻の周囲がガサガサになったり、鼻の中があれた場合にも使用する事があります。ただ、鼻の周囲も脂分が多いところなので、脂分が多い人は注意が必要です。

手荒れの保護剤

また手荒れの保護剤としても優秀ですが、とてもベトベトする薬なので、夜にぬって綿の手袋をして寝てもいいと思います。日中でもぬれる方は、ぬってみてください。

保湿剤として使う場合もありますが、冒頭でも言いましたが、蓋をする目的なので、乾燥肌の体質が元々強い人には、保湿剤としての力は天然保湿成分がはいっているヒルドイドに比べれば弱いです。

普通の肌の人は、一時的に乾燥してしまった場合、例えば乾燥が強い部屋にいた時とか、冬にものすごく長い時間風呂に入ったりした時のような場合にも、徐々に肌自体の治癒力によって乾燥が治ってきます。その時にワセリンで蓋をして、肌自体の治癒力の手助けをすることがあります。

アトピー性皮膚炎の人とか乾燥肌が強い人に対しては、元々の肌自体の治癒力が弱いため、蓋をしただけだと治ってこない場合があります。そのため、ヒルドイドなどを処方します。もちろんヒルドイドが合わない人もいますので、その方にはワセリンを使う事もあります。

ヒルドイドは血流がよくなりますので、赤ら顔の人が炎症が強くなった場合にはヒルドイドではなく、ワセリンを使う事もあります。

あと、脂分が多いためにニキビが出来やすい人や湿疹やあせもができてしまう人は、悪化してしまいます。これは当たり前の話しで、蓋をすることにより、皮脂などがたまり、余計赤いボツボツができたり、炎症がさらに強くなり真っ赤になってしまう事もあります。あと、全くかぶれないとは言い切れません。ワセリンをぬって毎回必ず赤くなってしまう人は中止してください。 

油焼けしませんか?

という質問を受けることもあります。油焼けとは肌につけたオイルや化粧品などの油分が、日中の太陽光による紫外線や熱の影響で酸化して色素沈着を引き起こす事をいいます。昔はそのような問題があったみたいですが、今は精製する技術が進歩してほとんど問題ありません。というか、色素沈着を起こすほどの炎症となるとかなり真っ赤になってしまいますので、先ほど言ったワセリンの何らかの成分でかぶれてしまったという事になると思います。かぶれは、どの塗り薬でもなる事があります。100%かぶれない薬は存在しませんので、あわない人は中止してください。

 

最後に

 という事で、ワセリンは決して万能薬ではありませんが、蓋をして肌を守るという正しい認識を持って使っていただくととても良い塗り薬になります。唇の渇きや荒れなどには特に効果を発揮する薬です。爪を含めた手先の保護にもいいです。私も冬場は唇に使用する事しています。繰り返しますが、合わない人もいますので、友達や家族が良かったからといって、体質は人それぞれなので、合わなければ中止するというのも大事です。

 

こちらの内容は動画でも解説しております。

この記事を執筆した人
生垣英之
生垣英之

信州大学皮膚科 入局
佐久総合病院皮膚科
信州大学皮膚科
長野赤十字病院皮膚科(科長)
大宮皮膚科クリニック院長
こだま皮膚科院長
古河いけがき皮膚科 開院

皮膚科診療歴20年以上。年間3万人以上の診察を行い地域医療に貢献。YouTubeでは皮膚科疾患について詳しく解説をしています。

院長
生垣 英之
診療内容
一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
TEL
0280-31-1217
※自由診療予約はweb予約をご利用ください
住所
〒306-0003
茨城県古河市緑町54-33
最寄駅
JR宇都宮線古河駅

診療時間

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