汗・ニオイを撃退!汗と体臭の悩み解決Q&Aを皮膚科専門医が解説
皆さん、暑い時期がまたやってきますね。暑さも厳しいと、ジメジメしていたり不快感も強いですよね。そんな、温度や湿度が高くなるこんな時期気になるのが、何と言ってもにおいではないでしょうか。自分のにおいがきになるなーと思ったとき、皆さんはどんなことをしますか?市販の制汗スプレーや、汗ふきシートを活用するっていう人がおおいのではないのでしょうか?もちろんそれも手軽だし、だいじですよね。
ただ、今の時期、においが気になる方というのはなかなかそれだけでは改善がむずかしい場合があります。脇や足のあせは分泌量も多く頻繁にスプレーなどしなくてはいけないのもしんどいですよね。
今回は夏のニオイ対策に関するブログとなっております。においが気になるこの時期、患者さんからの実際よくある質問や、汗に関する説明、皮膚科で治療できる場合の処方される薬、体臭を抑えるため、皮膚科受診以外でできることなどをQ&A形式でお届けしていきたいと思います。
こちらのブログの内容は以下のYouTubeでもお話ししていますので、良ければご覧ください。
今回のブログでは、こちらの4つのよくある質問に答えていきたいと思います。
Q1、気温もあがって体臭が気になる季節。においについてどのような相談事が多いですか?
Q2、においの相談に対してどのようなアドバイスがありますか?
Q3、皮膚科でにおいの治療はできますか?
Q4、体臭を抑えるため、身体の中から対策を取ることは可能ですか?
それでは早速始めます。
Q1:気温もあがって体臭が気になる季節。患者さんからどのような相談事が聞かれますか?
A:一番多いのは、脇や足の臭いが気になるっていう相談が一番多いですね。 男性からは頭の臭いがなかなかとれないと言われる事や加齢臭についての相談もありますね。他には、なんとなくいつもと違うなんか変な臭いが持続すると言われる患者さんもいますね。
Q2:そうしたにおいの相談に対してどのようなアドバイスがありますか?
A:まず汗が関与している体臭について話します。体臭の原因となる汗には、2種類あって、エクリン汗腺からでる汗とアポクリン汗腺からでる汗があります。エクリン汗腺はほぼ全身に分布しており、運動した時や暑いときに汗がでます。エクリン汗腺から出る汗の約99%は水分でできており、体温調整を行う役割があります。汗が出た直後は臭わないものの、時間の経過ととも菌が繁殖したり、アミノ酸などが分解されて体臭が発生します。アポクリン汗腺とは、脇や性器周辺などに分布している汗の腺のことです。アポクリン汗腺から出る汗には水分の他、タンパク質や脂質、脂肪酸といった体臭の元となる成分を含んでいます。汗に含まれるタンパク質が常在菌に分解されると悪臭が発生します。特に脇の下は、温度や湿度が高くなり、菌が繁殖しやすく臭いがでやすい場所になります。この現象が脇で起こった場合は、わきがと診断されます。
頭の臭いや加齢臭については、皮脂が関係しています。皮脂腺の中にある”ノネナール”という物質が臭いを引き起こします。なので、皮脂腺が多い頭、耳の後ろや、わきなどから臭いを発生してしまう事が多いです。他には、内蔵の病気が体臭の原因になる事があります。具体的には糖尿病や肝機能障害や胃腸障害などです。対処としてはまず、汗については小まめに汗を拭き取るようにすることや、肌着に汗が染み込んでしまった場合は、可能であれば着替える事もおすすめしています。他には制汗剤の使用もすすめています。かぶれる方もいるので、そこは注意してもらうところです。ストレスも体臭に関係しています。ストレスを受けると交感神経が優位になります。
交感神経は、アポクリン汗腺からの汗の分泌を促します。先ほど言ったようにアポクリン汗腺からの汗は脂質を多く含んでおり、菌による分解が進みやすいため、臭いが強くなることがあります。なので、ストレスを溜め込まないように注意しましょう。他には喫煙や飲酒もアポクリン汗腺の働きを活発にするため、体臭が発生しやすくなります。それだけでなくアルコールやニコチンは、それ自体が臭いを発する成分です。それなので、できる限り控えましょう。他には、食べ物も体臭に大きく影響します。例えば、ニンニクや玉ねぎ、スパイスの多く入った食べ物は体臭を強くすることが知られています。これらの食品に含まれる揮発性の硫黄化合物が汗とともに排出されることで、特有の匂いが生じます。あとは、甘酸っぱい臭いやツンとしたアンモニア臭がする場合は、内蔵の病気も考え医療機関に受診する事をおすすめします。
Q3:皮膚科でにおいの治療はできますか?
A:におい直接の治療は出来ませんが、汗の治療は皮膚科でできます。ワキや手などの多汗症に対して保険のきく塗り薬の治療をすることができます。内服薬を処方さる事もありますが、副作用もあり、相談して処方することになります。先程話したように、内蔵の病気の関与が疑われる場合は、検査をすることもできます。
Q4:体臭を抑えるため、身体の中から対策を取ることは可能ですか?可能だとして、具体的にどのような食生活を心がけると良いでしょうか?
A:可能です。ホルモンバランスが崩れ体臭がでてしまうこともあり、バランス良く食べるのがいいです。具体的には、体臭を強くする食品として、まず肉類があげられます。動物性タンパク質を多く含む食品である高カロリーかつ高脂肪な肉類や動物性脂質を多く含む食品である乳脂肪分の多い食品であるバターやチーズは、汗腺の働きを活発にしますので、体臭の原因になります。もちろん食べ過ぎるとですが。加齢臭の元であるノネナールを発生させる過酸化脂質の増加を抑えるのが抗酸化物質です。なので、抗酸化物質が多く含まれているビタミンCが豊富な野菜や果物、ビタミンEが豊富なナッツ類などは体臭を抑えます。また食物繊維が不足すると腸内細菌のバランスが変化し腸内環境が悪化するため 体臭が発生しやすくなります。
食物繊維には、2種類あり、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。水溶性食物繊維は、その名の通り水に溶ける食物繊維です。便をやわらかくしたり、善玉菌のエサとなったりするのがこの成分。海藻類や果物、野菜などに多く含まれています。不溶性食物繊維は、水に溶けずに体に吸収されない食物繊維です。腸を通過する時に、腸を刺激してぜん動運動を促進するほか、水に溶けないので便のかさ増しにもなり、便通を促します。きのこ、豆類や玄米などの穀物、野菜といった食品に多く含まれています。こちらも体臭を抑えます。先ほど、肝機能が悪くなると体臭の原因になると言いましたが、肝臓にはオルニチン回路というものがあります。たんぱく質を分解する過程で、有害物質のアンモニアが生じます。アンモニアは肝臓中のオルニチンと反応し、無害な尿素に変換してくれるのです。しかし、肝機能が低下していると、オルニチン回路がうまく機能せず、アンモニアの分解能力は低下します。分解されなかったアンモニアの一部は血液中から汗となり、ツンとしたアンモニア臭が漂います。なので、オルチニンが肝機能改善に重要になります。「肝臓に良い食材」として思い浮かぶのが、シジミだと思います。シジミは確かに他の食材よりオルチニンが多く含まれています。ですが、さらに多く含まれているのは、きのこなんです。きのこの種類によっては、5から7倍と言われています。なので、きのこは体臭を軽減するのに、とても良い食材と言えます。もちろん何事もバランスよく食べてくださいね。
以上でこの時期きになるニオイ対策のブログは終わります。
体臭がきになるかたはぜひ皮膚科受診がおすすめです。
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- 院長
- 生垣 英之
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- 一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
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