「糖尿病じゃないけど打ちたい」はアリ?週1回のマンジャロ注射、本当に安全?効果、副作用、危険性について医師が解説
最近、外来で「糖尿病じゃないけどマンジャロを使ってもいいですか?」「20・30代でも打てますか?」という相談が非常に増えています。SNSや美容医療の“ダイエット薬ブーム”の波に乗って情報があふれる一方、誤解も同じくらい拡散しています。今日は医師の立場から、仕組み・使える条件・リスク・現実的な向き合い方まで、20・30代女性にもわかりやすく解説します。
結論だけ先に言うと効くけれど、誰にでも使える安全な薬ではありません。自己判断での使用はおすすめしません。
マンジャロってどんな薬?
マンジャロとは、一般名チルゼパチドという、週1回打つ注射の糖尿病治療薬です。GIPとGLP-1という2つのホルモンの受容体に同時に作用する「デュアルアゴニスト」で、世界で初めてのタイプの薬と言われています。日本では2022年に「2型糖尿病」を効能・効果として承認され、2023年から保険診療で使われています。もともとの目的はあくまで「2型糖尿病の血糖コントロールを良くすること」です。

GIPとGLP-1は、食事を摂ったときに腸から分泌される「インクレチン」と呼ばれるホルモンで、血糖が高いときにインスリンの分泌を促し、逆に血糖が低いときにはあまり効かない、という特徴があります。マンジャロはこの2つのホルモンの作用を強めることで、インスリン分泌を増やし、グルカゴンを抑え、血糖値を下げていきます。同時に、胃の動きをゆっくりにして満腹感を長くしたり、脳に「もう十分だよ」というサインを送り、食欲そのものを抑える作用もあるため、食べる量が自然と減り、結果として体重も減っていきます。
なぜダイエット薬として話題なのか
海外の大規模試験では、適切な食事・運動と組み合わせることで、体重が10〜20%以上落ちたというデータも報告されています。日本でも、2型糖尿病の患者さんでHbA1cがしっかり改善し、同時に体重も数キロ〜10キロ以上減ったという症例が多数あります。「血糖も体重も一緒に良くなる薬」ということで、世界中で注目を集めているわけですね。その結果、「糖尿病がなくても、痩せたい人みんなが打てるんじゃないか?」という期待が広がり、SNSや美容医療の広告で「マンジャロダイエット」「週1回の注射で楽に痩せる」といったキャッチコピーが増えてきました。ここだけを切り取って見ると、確かに夢のような薬に見えますが、現実はそんなに単純ではありません。
糖尿病じゃなくても使っていいの?
一番多い質問がこれです。「私は糖尿病じゃないけど、太っていて痩せたい。マンジャロを打てばいいですか?」という相談です。結論から言うと、日本で承認されているマンジャロは、現時点では「2型糖尿病」のみが保険適応です。肥満症単独で使うことは保険診療の範囲外で、ダイエット目的での使用は自由診療、つまり自費になります。海外では、同じ成分チルゼパチドが「ゼップバウンド」という名前で肥満症の治療薬として承認されていますが、日本ではまだ肥満症への適応が限られており、「誰でも簡単に痩せ薬として使えるもの」ではありません。BMIや合併症、生活習慣などをきちんと評価したうえで、本当に薬が必要なのかを医師と一緒に検討する必要があります。特に、BMI22前後で健康診断もほぼ正常、でも「もっと細くなりたいから打ちたい」というケースは、医学的にはマンジャロの対象とは言えない事が多く、特にBMI20以下はやるべきではないと思っています。
メリットだけでなくリスクもある
マンジャロは、確かに体重減少効果が強い薬です。ただし、「打てば痩せる夢の薬」ではありません。どんな薬にも必ず副作用があります。代表的なものは、吐き気、下痢、便秘、食欲低下、倦怠感などの消化器症状です。量を急に増やすと、気持ち悪くて何も食べられない、フラフラするという方もいます。また、膵炎、胆嚢のトラブル、低血糖、腎機能への影響など、重い副作用が起こる可能性も報告されています。欧米の添付文書では、甲状腺腫瘍との関連が完全には否定できないという注意書きもあります。持病がある方、他の薬を飲んでいる方、妊娠を希望している方などは特に慎重な判断が必要です。
「痩せたいからとりあえず自己判断でネットで買って打つ」というのは、本当に危険です。さらに大事なのが、「やめた後どうするか」です。薬で無理やり食欲を抑えて体重を落としても、生活習慣がそのままだと、やめた瞬間に食欲が戻り、体重もリバウンドしやすくなります。実際、海外のデータでも、治療を中止すると体重の多くが戻ってしまったという報告もあります。一生打ち続ける覚悟がないのであれば、「マンジャロだけに痩身を丸投げする」のはおすすめできません。
マンジャロが向いている人・向いていない人
では、どんな人がマンジャロの対象になり得るのか。大前提として、食事療法や運動療法、他の内服薬で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病の方です。そのうえで、肥満やメタボを合併していて、心血管リスクが高いケースでは、体重も一緒に落とせるという意味でメリットが大きいと考えられます。一方で、軽い「美容目的ダイエット」で、簡単に痩せたい。運動もせず、食事の量も含めた生活習慣の改善をせずに、薬だけでやせたいという方には、正直おすすめしません。自費治療になりますので、お金もかかりますし、副作用リスクもあります。食事内容の見直し、間食・飲酒のコントロール、筋トレや有酸素運動、睡眠時間の確保など、薬以外の基本をやった上で、マンジャロもやりたいという方に向いています。
相談するときのポイント
もしマンジャロを検討したい場合は、まず「自分が本当に薬の対象になるレベルの肥満なのか」を見直してみてください。色々と頑張っているのに、体重が減らないという方は医師に相談するのがおすすめです。その際、「SNSで流行っているから打ちたい」ではなく、「生活習慣でどこまで頑張っているか」「他にできることはないか」も確認しましょう。あと皮膚科医としては、急激な減量はニキビ・肌荒れ・爪トラブルなどを誘発します。タンパク質、低脂質を中心に食事を整えましょう。低栄養だとバリア機能が落ち、乾燥とかゆみが増えます。美容目的こそ、近道は日々の生活習慣の見直しです。あくまで薬は補助的な役割です。
(エンディング)
というわけで、今回は、いま話題のマンジャロについて、医師の立場からメリットとリスク、そして日本での適応の現状をお話ししました。ダイエット薬ブームの波に乗る前に、少し立ち止まり自分の体と向き合うことが大切です。「本当に薬が必要な状態なのか」「生活習慣でできることはないか」立ち止まって考えてみてください。当院でも自費でのマンジャロの治療を行ってはいます。
一番の理由は患者さんからの要望が強いからです。当院でも是非取り扱って欲しいと何度も言われたので、開始しました。他にも実際やった職員からとても好評だったのもあります。当院ではBMIがある値より低い人などの適応がない人には処方せず、お断りすることもありますが、今後も健康的に痩せるのをお手伝いしていきたいと思います。
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- 院長
- 生垣 英之
- 診療内容
- 一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
- TEL
- 0280-31-1217
※自由診療予約はweb予約をご利用ください - 住所
- 〒306-0003
茨城県古河市緑町54-33 - 最寄駅
- JR宇都宮線古河駅
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