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【その脇汗、病気かも?】脇汗の悩み、保険で治療できるって知ってました?“原発性多汗症”とは【専門医が解説】

[2025.11.26]

こんにちは。茨城県古河市で皮膚科美容皮膚科を開業しています、生垣英之です。

今日は「脇汗の治療」について、特に“保険がきく治療法”をテーマにお話ししていきます。皆さんの中には、「脇汗で困っている…」という方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。

以下のブログの内容はこちらのYouTubeでも解説しております。

良ければごらんください

夏場だけじゃなくて、冬でも室内が暖かいとすぐにジワーッと汗が出てきたり、ちょっと緊張しただけで脇の下が濡れてしまったり…。気づくとシャツにシミができていて、人前で腕を上げるのが恥ずかしい。制服やスーツの色を選ぶときも、「汗が目立たないかどうか」で決めてしまう。そんなふうに、毎日のちょっとした場面で気を使いながら過ごしている方も本当に多いです。制汗剤を塗っても全然追いつかない…。朝しっかり塗っても午後にはもうジットリしてしまう。タオルを常に持ち歩いていたり、脇にティッシュを挟んで出かけたり――そんな「小さな努力」を積み重ねている方もいらっしゃいますよね。でも、そうやって頑張っても思うようにコントロールできない汗って、本当にストレスですよね。気持ちの問題ではなく、体が勝手に汗を出してしまう。自分ではどうにもならないものなんです。これまでは、「体質だから仕方ない」「緊張しやすい性格だから…」と諦めてしまう方が多かったんですが、実は今は違います。

脇汗の症状は“病気”としてきちんと認められていて、しかも保険で治療できる時代になったんです。「えっ、脇汗って病気なの?」「保険で治せるの?」と驚かれる方も多いですが、ちゃんと診断基準があって、条件を満たせば健康保険を使って治療が受けられるようになりました。私も診察の中で、「もっと早く来ればよかった」とおっしゃる方をたくさん見てきました。何年も悩んでいたのに、病気だと知らなかった。相談してみたら、ちゃんと治療の選択肢があった。そう話してくださる方が本当に多いんです。今日はそんな方にも安心していただけるように、「どんな状態が病気とされるのか」「どんな治療法があるのか」、そして「実際どのくらいの費用がかかるのか」まで、できるだけ分かりやすく具体的に伝えしていきます。もし今、「自分も汗が多い気がする」「人より気になっているかも」と思った方は、ぜひ最後まで見てくださいね。

きっと役立つ情報があると思います。

脇汗が多い=病気なの?

さて、「脇汗が多い=病気なの?」と思う方、きっと多いですよね。「緊張しやすい性格だから」「体質的に汗っかきだから」と思っている方も多いですが、実は医学的には“病気”としてきちんと名前がついているんです。その病名が「原発性腋窩多汗症」といいます。これは、特別な病気や薬の副作用などの原因がないのに、脇の汗が自分の意志ではコントロールできないほど多く出てしまう状態のことを指します。つまり、「暑いわけでも、運動をしているわけでもないのに、脇だけ異常に汗をかいてしまう」という方は、この病気に当てはまる可能性があるんです。たとえば、朝の通勤途中や仕事中に急に汗が出てしまったり、緊張しているわけでもないのに脇の下だけジワッと濡れてしまう。そんな経験、ありませんか?こうした症状は、性格や気合いの問題ではなく、汗を出す神経の働きが過敏になっていることが原因なんです。

多汗症とは

ここで少し整理しておきたいのが、「多汗症」には実は2つのタイプがあるということです。1つ目は、先ほど話したような「原発性多汗症」。これは特別な病気や原因がないのに、脇や手のひら、足の裏、顔など限られた部位に汗が多く出てしまうタイプです。いわゆる「体質的」なもので、神経の反応が過敏になっているために汗の量が増えてしまうんですね。思春期から20代くらいで発症する方が多く、季節を問わずずっと続くのが特徴です。そしてもう1つが「続発性(ぞくはつせい)多汗症」と呼ばれるもの。こちらは、ほかの病気や薬の影響で汗が多くなるタイプです。たとえば、甲状腺の病気、糖尿病、更年期障害、自律神経の異常、あるいは抗うつ薬などの薬の副作用で全身に汗をかくケースがあります。この場合は、まずその原因となる病気を治療することが大切になります。つまり、全身的に汗が多い場合は続発性の可能性があり、脇や手のひらなど特定の部位に集中して汗が出る場合は、原発性のことが多いというわけです。原発性腋窩多汗症の特徴この「原発性腋窩多汗症」には、診断基準があります。

  • 左右の脇、両方に汗が出る
  • 少なくとも週に1回以上は気になるレベルで汗が出る
  • 最初に症状がでたのが、25歳以下
  • 寝ている間はほとんど汗が出ない
  • 家族にも同じ症状の方がいる。
  • 脇汗をかくことによって、日常生活に支障をきたす。

この6つのうち2つを満たすことと、こうした症状が「6か月以上、続いている」場合には、原発性腋窩多汗症として診断します。

この“半年以上続いている”というのは大事なポイントで、一時的なストレスや季節的な変化ではなく、慢性的に脇汗が止まらない状態が続いていることが基準になるんですね。「自分もずっとそうかも」と思い当たる方も多いと思います。実際、診察室でも「学生のころからずっと」「季節を問わず毎日気になる」とおっしゃる方が多いです。勉強中や会議中に脇の下が気になって集中できなかったり、服の色を気にして好きな服が着られなかったり。そんなふうに日常生活に支障が出ているなら、それはもう立派な治療の対象です。このように、“原因がはっきりしないのに脇汗がコントロールできない”というのが原発性腋窩多汗症。決して珍しい病気ではなく、日本でも多くの方が悩まれています。そして、今はその悩みをきちんと「保険で治療できる」時代になっているんです。

保険が使える条件

脇汗で保険治療を受けるためには、この「原発性腋窩多汗症」と診断されることが大前提です。皮膚科ではまず問診で、いつから汗が出ているか、どのくらいの頻度か、生活にどんな影響があるかを聞いていきます。

その上で、重症度をチェックする「HDSSスコア」を使って診断していきます。たとえば「人前で恥ずかしい思いをする」「洋服を何度も着替えないといけない」「集中力が削がれる」こういった困りごとがある場合、十分に保険治療の対象になり得るんです。保険適応の治療法では実際に、どんな治療が保険で受けられるのかを話します。代表的なのは外用薬です。外用薬には現時点では、2種類あります。脇に直接塗ることで、汗の分泌を抑えてくれる薬なんですね。

1つ目は、エクロックゲルです。日本で初めて保険適応となった塗り薬です。エクリン汗腺が交感神経から汗を出す指令をブロックする薬です。1日1回決まった時間にワキに塗ります。効果は数日から2週間くらいで出る事が多く、最低でも6週間は継続してもらいます。

もう一つは、ラピフォートワイプと言って、1枚1枚がシート状になっていて、使用後は捨てるタイプになります。両方とも、目の病気である緑内障や尿が出にくくなる前立腺肥大の病気の方は使用できません。副作用としては、かぶれや口の渇き、尿が出にくくなる、視界がぼやけるなどの症状がまれにでます。でも、制汗剤よりもしっかり効果が出る方が多いです。「塗るだけで治療が始められる」というのは手軽で安心ですよね。ボトックス注射も重症の原発性腋窩多汗症の方に保険が認められる事があります。ワキガや汗じみなどの美容目的での使用は認められておりません。

治療の費用

気になるのが「いくらかかるの?」という部分ですよね。外用剤は剤型によりますが、1ヶ月あたり3割負担で2千円前後で、注射は、3割負担で2万円前後になります。

よくある質問

ここで、よくいただく質問をいくつか取り上げます。

1.市販の制汗剤とどう違うの?

A. 制汗剤はあくまで一時的に防ぐもので、医学的な治療ではありません。外用剤やボトックスは「病気としての多汗症」に対してしっかり効く点が違います。

2.副作用はありますか?

A. 外用薬で多いのはかぶれ、注射では一時的な痛みや腫れが出ることがあります。ただし重い副作用はまれです。

脇汗は「体質だから仕方ない」と思い込んでしまう方が多いですが、実は病気としてきちんと治療できるんです。保険で受けられる選択肢があるので、経済的な負担も比較的少なく、安心して治療を続けられます。もし「自分も当てはまるかも」と思ったら、ぜひ皮膚科に相談してみてください。汗を気にせず、人前で堂々と過ごせるようになると、気持ちが本当にラクになりますよ。今日は「保険のきく脇汗治療」についてお話ししました。参考になったら嬉しいです。

当院の多汗症治療について詳しくはこちら

院長
生垣 英之
診療内容
一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
TEL
0280-31-1217
※自由診療予約はweb予約をご利用ください
住所
〒306-0003
茨城県古河市緑町54-33
最寄駅
JR宇都宮線古河駅

診療時間

診療時間
9:30~13:00
14:30~18:30

▲:土曜午前の診療時間は、9:00~13:00
★:土曜日午後は、14:00~17:30(完全予約制)の手術、レーザー治療、保険診療
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