【重症ニキビ治療】イソトレチノインで肌が変わる!?効果・副作用・注意点をすべて公開!
こんにちは。茨城県古河市でいけがき皮膚科を開業している生垣英之です。今回は「ニキビがなかなか治らない…」「もう何年も繰り返している…」という方に向けて、重症ニキビに対する治療の選択肢のひとつ、イソトレチノインという薬についてお話しします。これまでいろんな薬を試しても、スキンケアを見直しても、生活習慣を整えても、なかなか改善しなかった…。そんな時、「私のニキビはもう治らないんじゃないか」と不安に思ってしまう方もいらっしゃいます。でも、諦めないでください。皮膚科には、“最後の切り札”といえる治療があります。それが、今回お伝えする「イソトレチノイン」です。今回のブログでは、イソトレチノインとはどのような薬なのか、なぜニキビ治療の切り札と呼ばれ効果が高いのか、イソトレチノイン使用時の注意と副作用、治療費、治療の流れについて、またよく質問される内容について詳しくお話していきます。それでは早速はじめましょう。
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イソトレチノインとは?
イソトレチノインは、ビタミンAから派生した成分で、特に皮膚に対して強力な作用を持つ薬です。この薬は、皮脂の分泌を抑える力が非常に強く、毛穴の詰まりや炎症を根本から改善してくれることから、重症のニキビ治療において「切り札」ともいえる存在です。海外ではすでに長年使用されており、「アキュテイン」「ロアキュタン」といった商品名で多くの患者さんに処方されています。欧米やアジアの一部の国ではニキビ治療のスタンダードとして確立されており、その有効性は非常に高く、多くの臨床実績があります。日本では現在、イソトレチノインは保険診療では認められていないため、保険診療での処方はできません。しかし、皮膚科専門医の判断のもとで、自費診療として、安全管理を行いながら処方されるケースが増えてきています。まだ聞き慣れない薬かもしれませんが、皮膚科の専門的な診療の中では、特に難治性のニキビ治療において重要な位置を占めています。
イソトレチノインが適応となる方
次のような方に、イソトレチノインの内服が検討されます。以前のブログでも話した保険診療のニキビの薬である、抗生剤やアダパレン、過酸化ベンゾイルなどの塗り薬を使っても、なかなかニキビが良くならなかった方、生活習慣や食生活を見直しても、慢性的にニキビが続いている方、頬やフェイスライン、背中などに常に赤く炎症を起こしたニキビがある方、特に、「ニキビが精神的なストレスになっている」と感じている方にとって、イソトレチノインは新しい一歩を踏み出すための選択肢となるかもしれません。詳しく解説していきますね。
なぜ効果が高いのか?
イソトレチノインが「重症ニキビの最後の手段」といわれる理由は、その治療メカニズムの特異性と、長期的な改善効果にあります。イソトレチノインの3つの主要な働きについてお話しします。
①皮脂分泌を根本から抑える
イソトレチノインの最大の特長は、皮脂腺そのものを縮小させる力にあります。私たちの皮膚には、毛穴に付随する形で「皮脂腺」が存在し、常に皮脂を分泌しています。これが過剰になると毛穴が詰まり、アクネ菌が増殖して炎症が起き、赤く腫れたニキビができてしまうのです。イソトレチノインはこの皮脂腺の活動を直接抑制し、皮脂の量を大幅に減らします。そのため、皮脂が原因で繰り返されてきたニキビに対して、根本から改善をもたらすことができます。外用薬などでは一時的に皮脂を抑えることはできても、皮脂腺の“機能そのもの”に働きかける薬は非常に限られており、イソトレチノインはその数少ない選択肢です。
②炎症を抑える作用もあわせ持つ
皮脂が減ることで、アクネ菌の繁殖環境が整わなくなり、炎症そのものも起きにくくなります。さらに、イソトレチノインには直接的に炎症を抑える作用もあり、赤く腫れていたニキビが徐々に落ち着いていきます。多くの方が「ニキビができにくくなるだけでなく、赤みや腫れも早く引いていった」と実感されるのは、この炎症を鎮める作用のおかげです。
③再発を防ぐ長期的な効果
従来のニキビ治療では「一時的に良くなるけれど、また数ヶ月後に再発してしまう」というケースが多く見られます。ですがイソトレチノインは、一定期間きちんと服用することで、治療終了後も数ヶ月から数年にわたって再発が起こりにくくなるという特徴があります。実際に、正しく服用した方の中には「治療が終わって数年経ってもニキビができにくくなった」と感じている方も多く、“ニキビ体質そのものが変わった”ような実感を得ることもあります。
こうした働きにより、イソトレチノインは「どんな治療をしてもダメだった…」と感じていた方にとって、希望の光となる治療法です。
使用時の注意点と副作用
このようにイソトレチノインは、これまでの治療ではなかなか良くならなかったニキビに対して、大きな改善が期待できる内服薬です。ですがその一方で、体への影響が強く、使い方には十分な注意が必要な薬でもあります。これが、保険適応ではない理由の一つです。要するに副作用が強くでる人がいます。しかし、治療を受ける方が不安にならないように、ここでは代表的な副作用とその対策、そして特に注意が必要なポイントについて、わかりやすくお話していきます。
よく見られる副作用
まず、多くの方に見られるのが「乾燥」です。これはイソトレチノインの作用のひとつである皮脂分泌の抑制によって起こります。口唇の乾燥。これはほぼ全員に出ます。あとは、皮膚のつっぱり感やかさつき、目や鼻の中の乾燥、軽いかゆみなどです。ただし、これらの症状は、リップクリームや保湿剤などをこまめに使うことで十分にコントロール可能です。とくに唇は乾燥がひどくなりやすいため、リップクリームは常に持ち歩くことをおすすめします。
まれに見られる重大な副作用
体内に大きな影響を与える重い副作用がでる事もあるため、治療中は定期的な通院と血液検査が必須となります。まず1つめは肝機能の異常です。イソトレチノインは肝臓で代謝される薬なので、肝臓に負担がかかることがあります。血液検査で定期的に確認します。なぜ血液検査をするかというと、肝臓は沈黙の臓器と言われているよに、かなり悪くならないと症状がでないからです。2つめは中性脂肪やコレステロールの上昇があります。特に脂質異常症の傾向がある方は注意が必要です。これも血液検査が必須です。検査数値に応じて服用量を調整することもあります。3つ目は気分の落ち込み・うつ症状などの精神面への影響です。ごくまれに、気分が沈んだり不安を感じたりすることがあります。もし気持ちの変化に気づいたら、無理せず早めに医師にご相談ください。4つ目は骨への影響です。特に成長期の方では骨への影響が懸念されます。具体的には身長の伸びが止まってしまうという事です。なので、思春期の方への投与は慎重に行わなければいけません。こうした副作用のリスクを最小限に抑えるために、当院では治療開始前から丁寧なカウンセリングと必要な検査を実施しています。最後に特に重要な注意点は妊娠・授乳中は絶対に使用不可という事です。イソトレチノインで最も注意すべき点は、強い催奇形性があることです。これはつまり、妊娠中や妊娠予定の方が服用すると、胎児に重大な影響が出る可能性があるということです。そのため、女性の方は、服用中は必ず避妊を行うことや服用終了後も最低1ヶ月間は避妊が必要になります。授乳中の方も、薬が母乳に移行する可能性があるため、服用はできません。
副作用への対策
副作用のリスクを軽減しながら、できる限り快適に治療を進めるために、次のような対策をおすすめしています。唇、顔、手など保湿ケアをしっかり行う。肌が敏感になるため日焼け対策を徹底する。体調や気分の変化を感じたら、すぐに医師へ相談するなどです。イソトレチノインは確かに強力な薬ですが、正しく使えば、つらいニキビを根本から改善できる可能性を秘めた治療法です。そのためには、患者さん自身の理解と、医師との信頼関係がとても大切になります。
治療期間と服用量、治療費など
イソトレチノインの治療は、「根本的な改善を目指す中長期的な治療」です。一般的な治療期間は、約4ヶ月から6ヶ月です。この期間で、患者さんのニキビの重症度・副作用の出方などを見ながら、医師が適切な服用量を調整していきます。重症の方や、再発をできるだけ防ぎたいという方の場合は、合計服用量を考慮し、もう少し長めに内服するケースもあります。ただし、長く続ければ良いというものでもなく、副作用とのバランスを見ながら、安全な範囲で進めていくことが大切です。服用量についてですが、イソトレチノインの服用量は、通常1日10mg〜40mg程度が一般的です。体重や副作用などを考慮しながら、医師がその都度調整しながら最適な量を処方します。
治療費
先ほどお話ししたようにイソトレチノインは日本では保険適用外のため、自費診療になります。なの、費用はクリニックによって違います。血液検査が定期的に必要になることが多く、それも自費診療になります。高いと思われる方もいるかもしれませんが、イソトレチノインは多くの場合、“一度治療を完了すれば、長期的にニキビが再発しにくくなる”という特長があります。これまで何年も続けていた外用薬や通院、スキンケア用品の費用を思い返すと、将来的な自己投資としての価値があると感じられる方も多いです。
よくある質問Q&A
1. どのくらいで効果が出ますか?
A 早い方で1ヶ月後くらいから赤みや腫れの減少を感じます。3ヶ月ほどで目に見えて改善する方が多いです。
2. 再発しますか?
A 人によって異なりますが、6割以上の方で長期的な改善が報告されています。
3. 日焼けしてもいいですか?
A 肌が敏感になるため、日焼けは避けてください。必ず日焼け止めを使いましょう。
4. 飲み忘れたらどうすれば?
A 気づいた時点で思い出した分を飲まず、次の分から通常通り服用してください。
まとめ
今回はニキビ治療の最後の切り札とも言われるイソトレチノインについて話しました。ニキビの治療については、この本にも書いてありますので、参考にしててください。ニキビは見た目の問題だけでなく、自信を失ったり、外出を控える原因にもなります。長く悩んでいると「もう無理なんじゃないか…」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。でも、治療法はあります。「もう一度、前向きな気持ちで毎日を過ごしたい」そう願う方に、イソトレチノインという選択肢があることを、ぜひ知っていただきたいと思います。気になる方は、お気軽に皮膚科にご相談ください。
- 院長
- 生垣 英之
- 診療内容
- 一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
- TEL
- 0280-31-1217
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