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スギ花粉症を治す薬!?舌下免疫療法の効果、症状改善に必見!舌下免疫療法の正しい使い方と効果【スギ花粉舌下免疫療法】

[2023.07.03]

今回は、つらいスギ花粉症の完治も見込める治療法「スギ花粉舌下免疫療法」についてのお話です。以下のブログの内容はこちらの動画でもご説明しておりますので、よければ御覧ください

【はじめに】

皆さん春と言えば、何を思いうかべますでしょうか?桜、入学式などでしょうか?
温かい陽気になり、本来は気持ちがいい時期ですよね。

ただ、憂鬱になる人も多いのではないでしょうか?なぜなら、そう花粉症です。日本人の40%はスギ花粉症にかかっているといわれているからです。

40%といえば5人に2人です。すごいですよね。

スギ花粉症は説明の必要がないかもしれませんが、スギ花粉が原因となって起こるアレルギーの総称がスギ花粉症です。
症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどです。

時期は冒頭で話したように2月~4月で3月がメインです。治療は抗アレルギー剤内服や点眼、点鼻薬などです。

あくまで症状を抑える治療になるのと、抗アレルギー剤は眠気がでてしまう事があります。
眠気と効果の兼ね合いで薬を決めていきます。

1度発症すると自然になおることはなく、一生付き合う覚悟が必要な病気です。

なんとか完治する事はないのでしょうか?という質問を受けることがあります。

結論から言ってしまえば、すぎ花粉症を完治させる方法はあります。
その治療が舌下免疫療法という治療になります。

減感作療法ともよばれ、舌の裏側にアレルギーの原因である「アレルゲン」である医療用スギ花粉抽出物を毎日少量投与することで、からだをアレルゲンに慣らし、アレルギーを和らげる治療法です。

この薬は合成薬ではなく、自然界にあるスギの花粉から薬用に成分抽出されています。


この治療法は、海外ではすでに100年以上も前から行われている治療法ですが、かつては注射剤しかなく、痛みやアナフィラキシー、頻繁な通院などによって日本ではあまり普及しませんでした。

そこでデメリットを大幅に改善した「舌下免疫療法」が開発されました。
現在行われている治療の中で、唯一すぎ花粉症を体質から改善する方法、といわれています。
今回はそんなスギ花粉症の舌下免疫療法について話したいと思います。

【治療効果】

肝心な治療効果ですが、残念ながら全ての患者さんに効果があるわけではありません。

約2割が完治。約3割が大きく改善され花粉症薬の薬がかなり減った。

約3割で薬は必要だが、症状が改善された。約1~2割で治療効果がなかったというデータがあります。

要するに約8割の方に効果があるという事になります。


治療を始める前にご自分が効果の出る体質かどうかを知りたい方も多いかとおもいますが、その方法はありません。

【治療方法】

次は具体的な治療方法について話します。

スギ花粉を抽出した薬剤(錠剤)を毎日内服していく治療になります。内服方法は、舌の裏に1分間保持して、飲み込みます。


初回投与のときはアナフィラキシーショックと言って、急激な反応がでる場合があるため、診察室で内服してもらい30分は院内にいてもらいます。

服用時の注意点としては、服用後5分はうがいや飲食を避けていただきます。


はじめの1週間は副作用が出ないかどうか確認するために少ない量から始め、2週間目以降は量を増やした薬剤を毎日飲み続けます。

その後は定期的に受診してもらい、ご自宅で内服を続けてもらいます。

【治療を受けられない人】

この治療はだれでも受けられるわけではありません。

まず第一にスギに対する血液中の抗体を調べる検査が必要になります。採血により抗体の有無を確認してから開始になります。

他には、妊娠されている方や近いうちに妊娠希望のある方、重症喘息の方、癌の治療をしている方や重篤な心臓の病気がある方、免疫抑制剤を服用されている方などが対象外となります。


舌下免疫療法は以前は12歳以上からの適応とされていましたが、安全性の高さから2018年より5歳以上から治療が受けられるようになりました。

ですが、1分間舌の裏で保持しないといけないので、小学校低学年以下の方の場合は難しいかもしれません。
高齢の方も可能ではありますが、効果が一般的に弱いといわれています。

【副作用】

先ほどアナフィラキシーショックの話をしましたが、具体的には皮膚の変化では全身が真っ赤になったり、嘔吐やせきや呼吸困難などや血圧が低下して、意識混濁になってしまう症状です。

聞くと怖くなってしまうと思いますが、心配しないでください。ごくごくまれです。

ただし、出現すれば大変な事になってしまいます。この症状が出やすいのが、内服30分以内や開始後1か月間、あとはアレルゲンが大量に飛散している状態のときなどと言われています。


アナフィラキシーショック以外の他の副作用としては、口内炎、舌の腫れ、口の中の腫れやかゆみ、不快感、唇の腫れ、のどのかゆみや刺激感、不快感、耳の痒みなどが言われています。

軽い症状がほとんどですし、内服し続けることによりだんだんと症状は収まっていく場合が多いです。

舌下免疫療法中でも他の花粉症の薬内服可能です。
むしろ症状が出ている場合は積極的に他の薬と併用で使用します。

【治療開始時期】

時期によって治療開始できない場合があります。
アレルゲンが大量に飛散している状態のときは副作用がでやすいため、開始できません。

当院では1月から5月のゴールデンウィークまでは開始はしないようにしております。
ちなみにスギ花粉の飛散が始まる3ヶ月以上前からの治療が効果的といわれていますので、5月のゴールデンウィークが開けたら早めに開始されることをおすすめします。

【治療期間】

治療期間ですが、免疫を変え体質を改善する治療のため、治療開始からすぐ効果を確認出来る治療ではありません。

初回服用から数ヶ月後のスギ花粉飛散期に大きな改善がみられる場合や2~3年後に改善がみられる場合など、効果が出るまでの期間は様々です。


1年目より2年目、2年目より3年目の効果が大きいというデータがありますので、焦らず長期間継続治療していく事が必要です。


3年目で効果が明らかにある場合は4から5年と延長して治療を継続していくこともあります。

【最後に】

まとめです。
スギ花粉症の舌下免疫療法では、約2割の方がスギ花粉症の完治が期待でき、8割の方に効果があります。ただし、3年くらいの長期間薬を内服していく忍耐力の必要な治療となります。


実際に治療されている患者さんの中には「スギ花粉がとぶ季節になっても鼻水や鼻詰まりに悩まされることがなくなりマスクやゴーグルもいらなくなりました。好きだったお花見にも行けるようになりました」と仰っていたかたもいます。

長い治療となりますが、諦めずに一緒に頑張りましょう。

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