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膠原病の皮膚初期症状に注意!早期発見のためのチェックポイント5選

[2025.05.25]

以前のブログで膠原病の皮膚病変10選について話しましたが、今回は実際に患者さんを診察して、皮膚症状から膠原病を発見する事に至った皮膚病変の中で経験的に多いものを5つあげたいと思っています。

以前ブログはこちらから(https://ikegaki-hifuka.com/?p=102903

これはあくまで私の20年以上の臨床経験に基づいたものです。普段膠原病とは聞きなれれないものですよね。患者さんが皮膚科にかかり、診断し膠原病だというと、「まさかそんな病気だとは思いもしなかった!」と驚かれることがあります。認知されにくい病気とはそれだけで発見が遅れることも多くなりやすく、症状が知らない間に進行していることもあります。そんななかで皮膚はよく普段から目にする、変化があれば発見しやすい部分になり、このブログを見てなにか違和感を感じ、病気の早期発見に少しでもつながればと思います。
以下のブログの内容はこちらのYouTubeでもご覧いただくことができます。よろしければあわせてご覧ください。

それでは初めにチェックポイントの説明の前に膠原病について簡単にご説明します。膠原病は、自己免疫疾患の総称であり、免疫がおかしくなって本来敵が入ってきたときに攻撃するのに、間違って自分の体を攻撃することで発症します。膠原病には、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、強皮症、皮膚筋炎などがあります。他には、混合性結合組織病と言って、全身性エリテマトーデスや強皮症などの症状が混在する病気もあります。これらの病気は、関節や内臓、皮膚など、体のさまざまな部分に影響を与えます。これが膠原病という病気となります。それでは、皮膚症状から膠原病の診断に至った皮膚症状5選を話します。

1、冷えると指先が白くなったり、紫色になったりする症状

「寒いと指先が白くなる」「冷えると指が紫色になる」などの症状がある人は、レイノー現象の可能性があります。レイノー現象とは、血管が一時的に収縮することによって手や足の指先が冷たくなり、白くなったり青紫色になったり赤くなったりして 10分ほどで正常に戻る症状を指します。これは、寒さやストレスが引き金となって起こることが多いです。特に女性に多く見られる現象で、全人口の約5〜10%が経験すると言われています。レイノー現象は2種類あり、原発性レイノー現象と続発性レイノー現象です。原発性は、原因がはっきりしないもので、続発性は膠原病などの病気が原因となっておこるものです。70から80%は原発性と言われています。なので、レイノー現象だから膠原病というわけではありません。続発性レイノー現象であったとしても、膠原病以外にも、関節リウマチや血管の病気や、薬剤などによって引き起こされる事もあります。まずは、膠原病かどうかの検査を行う事が重要になります。通常、血液検査を行う事が多いです。寒いと指先が白くなったり、紫になったりする人は必ず皮膚科を受診してください。特に頻回になる人は注意が必要です。今は症状がないから行っても無駄と思わず、先端の色の変化に気づいたら、写真を撮って記録して、診察をうけると話しが早いと思います。

強皮症や全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病などの病気でみられます。特に強皮症の方の半数はRaynaud 現象で発症するため膠原病の初発症状としてとても重要です。これは血流障害によって引き起こされるもので、レイノー現象が長期にわたって続くと、指先に潰瘍ができたり、壊死が生じることがあります。10代の子が、指先をぶつけて傷が治らないと言って受診してきた事があり、傷の治療をしても治りが悪いため、話しを聞いたらレイノー現象がある事がわかり、強皮症の診断がついた患者さんがいました。聞かなかった自分ももちろん悪かったですが、レイノー現象の事を言ってもらったらもっと早く診断がついたと思った事がありました。その子は傷と関係ないと思ったから言わなかったと言っていましたが、レイノー現象があれば是非医師に話してください。診察時に症状がないからと言って遠慮しないでください。膠原病が原因のレイノー現象は、もちろん膠原病の治療が最優先ですが、予防としては、手袋や靴下の着用を徹底して、寒さ対策をしてもらうのと、タバコを吸っている人は禁煙してもらいます。

2、複数の爪の周りが赤くなっていたり、腫れている症状

爪の周り、特に爪の根元や側縁に炎症が生じて、赤く腫れる状態を爪囲紅斑といいます。爪の周りが赤くなり腫れているから膠原病というわけではありません。手の湿疹でも赤くなりますし、ばい菌が入ってしまっても爪周囲が赤く腫れる事がよくあります。膠原病に伴う爪囲紅斑は、血流の異常や、血管の炎症で起こります。なので、拡大してみると爪の根元のところの細かい血管が拡張していたりします。症状があまりないことが多いですが、軽い痛みや違和感があることがあります。皮膚筋炎や全身性エリテマトーデスでこの症状がみられます。特に皮膚筋炎では高頻度で見られますので、診断的価値が高いです。他の皮膚病で受診して、そういえばささくれが治らないからついでに診てと言った患者さんがいました。診察すると複数の手の指の爪が赤くなっていて、ダーモスコープという皮膚を拡大してみる機械で爪の根元をみたら、血管が拡張していて、膠原病を疑い検査したら、皮膚筋炎という事もありました。その患者さんは、症状がなかったので気にしてなかったとおっしゃっていました。かゆみや痛みがなく、複数の爪の周りが赤い場合は、皮膚科受診をしてください。膠原病に伴う爪囲紅斑も末梢の循環障害が原因ですので、膠原病の治療をしながら、ビタミンEなどの内服をします。

3、鼻から両頬にかけて現れる赤い発疹

鼻から両頬にかけて現れる蝶のような形をした皮膚の赤みを蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)といいます。かゆみや痛みはない場合が多いです。皮膚を触ると少し盛り上がっていることもあります。日光に当たることで悪化することがあり、日光過敏症がこの症状を引き起こす要因となります。これはかなり有名ですので、知っている方も多いかもしれません。ただ、鼻から頬にかけての赤みは、蝶形紅斑だけではありません。かぶれや酒さ、丹毒、伝染性紅斑などの他の病気が鑑別になります。聞き慣れない病名もあったと思いますが、酒さというのは、頬や鼻に血管が拡張したり赤いボツボツができる原因がはっきりしない病気です。丹毒はばい菌感染です。伝染性紅斑はウイルスの感染症です。何が言いたいかと言うと診断が難しい場合があるという事です。全身性エリテマトーデスにみられる事が多いですが、皮膚筋炎にもみられる場合があります。顎にかけてもみられる事が多いです。 蝶形紅斑の場合は、患者さんが病気を調べて、蝶形紅斑が心配できましたという場合も多いです。自分の経験では、患者さんから蝶形紅斑が心配で来ましたといわれた場合、他の病気である事の方が圧倒的に多いため、必ず皮膚科を受診してください。

4、日光に少しでも当たると赤くなる

「日差しを浴びると、すぐに赤くなる…」「普通の人よりも強く日焼けし、皮膚が痛くなる…」
「日光に当たった部分がかゆくなったり、発疹が出る…」
という方はいらっしゃいませんか?それはもしかすると、光線過敏症かもしれません。光線過敏症について話します。通常の光、特に日光に対して皮膚が異常に反応する状態を指します。日光に当たると肌が赤くなったり、かゆくなったり、さらには水疱ができることもあります。
光線過敏症の原因はさまざまありますが、そのうちの一つに膠原病があります。全身性エリテマトーデスや皮膚筋炎でこの症状がみられます。具体的には日光を浴びると元々あった皮疹が増悪したりします。光線過敏症の話しをすると割と多く反応されるのが、夏に日光を浴び続けると真っ赤になりますと言われる事が多いですが、それはだれでもそうですので、心配しないでください。治療は残念ながら遮光するしかありません。

5、5月以降にしもやけができる

まずしもやけの説明をします。しもやけは冬などの気温が下がった時に、手足の指先、耳たぶなどの末端部にかゆみを伴う赤色や赤紫色の腫れが現れる病気です。通常、春には良くなります。これは、寒冷刺激による血流障害が原因です。春以降にも、しもやけができる場合膠原病の可能性があります。しもやけの医学的な病名は凍瘡と言います。膠原病の皮膚病変でしもやけに似た皮膚症状がでる事があるため、この皮膚症状を凍瘡様皮疹と言います。膠原病による凍瘡様皮疹は、単なる寒さによるものではなく、自己免疫の異常によって血管が炎症を起こしている状態です。全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群でこの症状がみられます。30代の女性の方が、先生、私昔から冷え性で、大分暑くなってきたんですが、しもやけがなかなか治らないんですと言って6月に受診してきました。診察したら、確かに手にしもやけみたいな皮疹がありました。これはおかしいと思って、検査したら全身性エリテマトーデスでした。なので、住んでいる場所によってもちろん時期は違いますが、GW以降までしもやけみたいな皮疹が続くようなら必ず皮膚科を受診してください。

まとめです。今回は、皮膚病変から膠原病の早期発見のためのチェックポイント5選について、話しました。今までの経験上多かった皮膚から発見した膠原病の症状をまとめました。以前の動画でも話しましたが、膠原病は皮膚病変と発熱や関節痛などの内科的な症状と血液検査などを組み合わせて診断し、長期間かけて治療していく病気になります。最悪死にいたってしまうこわい病気でもあります。ただ、早期発見ができれば、症状を抑えられる事も可能ですし、専門の内科の先生に紹介することもできます。自分に当てはまる症状があれば、是非皮膚科の先生に相談してみてください。

院長
生垣 英之
診療内容
一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
TEL
0280-31-1217
※自由診療予約はweb予約をご利用ください
住所
〒306-0003
茨城県古河市緑町54-33
最寄駅
JR宇都宮線古河駅

診療時間

診療時間
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▲:土曜午前の診療時間は、9:00~13:00
★:土曜日午後は、14:00~17:30(完全予約制)の手術、レーザー治療
※受付開始は、診療開始30分前(平日は9:00から、土曜日は8:30からです。)
※最終受付は終了時間の15分前となります。

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