性器ヘルペスの原因・症状・治療法を徹底解説!再発リスクと最新治療法とは?
こんにちは 茨城県古河市で皮膚科・美容皮膚科を開業しております、皮膚科診療歴20年以上の医師の生垣英之がおおくりします。以前、口唇ヘルペスのブログをつくりましたが、今回は性器ヘルペスのブログになります。口唇ヘルペスのブログについてはこちらをご覧ください。
性器ヘルペスとは
性器ヘルペスとは、何の病気でしょうか?ヘルペスウイルスというウイルスの感染症です。(口唇ヘルペス 原因)ヘルペスウイルスは種類がたくさんあります。よく知られているのは、性器ヘルペスの原因ウイルスである、単純ヘルペスと帯状疱疹の原因ウイルスである、水痘・帯状疱疹ウイルスです。水痘・帯状疱疹ウイルスは水ぼうそうのウイルスになります。ちがいをざっくりと話しますと、単純ヘルペスは、帯状疱疹と比べて皮膚の狭い範囲で症状がでます。他には、帯状疱疹と違い繰り返すのが、特徴です。ちなみに帯状疱疹は一生に一度といわれているくらいです。治療薬もかぶる事が多いですが、帯状疱疹の方が多く薬をのみます。帯状疱疹については、別のブログをだしていますので、そちらをご覧ください。
帯状疱疹でしてはいけないこと/悪化の予防と注意点:5つのNG行動を皮膚科専門医が解説
単純ヘルペスウイルスの話しにもどりますが、1型と2型があり、1型は口唇にできやすく、2型は陰部にできやすいと言われていますが、1型が陰部に感染することもあります。性器ヘルペスは、性器や肛門の周囲に痛みを伴う水ぶくれや潰瘍を形成する感染症であり、再発を繰り返すことが特徴です。男性では陰茎や肛門周囲、女性では外陰部や臀部に症状がでます。
性器ヘルペスの感染経路
性器ヘルペスは、感染者との性的接触(膣性交、肛門性交、口腔性交)を通じて感染します。ウイルスは、感染者の皮膚や粘膜の小さな傷口から体内に侵入し、神経細胞に潜伏します。感染後、免疫力の低下やストレスなどが引き金となり、再発することがあります。性器ヘルペスは、症状が現れていない潜伏期間中でも、ウイルスが分泌物に含まれることがあり、これを「無症候性排出」と呼びます。この期間にも感染を広げるリスクがあるため、注意が必要です。ちなみに男性より女性の方が感染しやすいです。
性器ヘルペスの症状
性器ヘルペスの症状は、初発と再発の際で異なることがあります。
少しややこしいのですが、初発は2種類あって、初感染で症状が初発する場合と初感染時は症状がほとんど出ずに潜伏していたウイルスが何らかの誘因で再活性化し、初めて症状がでる場合があります。これは、初めて感染した場合でも症状がでない場合があるためです。なので初めて症状がでたから、必ずしもその2日から10日前にだれかと性行為をしてうつったというわけではありません。たまに、症状がでてクリニックを受診し、性器ヘルペスと診断すると思い当たる事は全くないと言われる事がありますが、以前感染したのが、初めて症状としてでたんですよ。と説明しています。
初発時の症状
初発では、強い症状が現れることが多く、一般的には感染から2〜10日以内に症状が出現します。主な症状としては:
- 水ぶくれや潰瘍: 性器や肛門周辺に痛みを伴う小さな水ぶくれが現れます。これらは破れた後、潰瘍となり、非常に痛みを伴います。
- 痛みやかゆみ: 性器やその周辺に強い痛みやかゆみが生じることもあります。
- 発熱やリンパ節の腫れ: 全身症状として、発熱や鼠径部のリンパ節が腫れることもあります。
- 排尿時の痛み: 尿道や膀胱に炎症が広がると、排尿時に強い痛みを感じることもあります。
再発時の症状
再発時の症状は、通常初発時よりも軽度であることが多いです。再発は、疲労やストレス、免疫力の低下などがきっかけとなり、数日から1週間ほど続くことがあります。主な症状を話します。
- 軽度の水ぶくれや潰瘍: 再発時には水ぶくれが少数で、痛みも軽いことが多いです。
- 前兆症状: 再発前に、感染部位にチクチクした痛みやかゆみ、灼熱感を感じることがあります。これを「前兆症状」と呼び、症状が現れる前兆となります。
このように再発より初発の方が症状は弱いですが、これはあくまで一般的な話しで再発時でも症状が強い方もいらっしゃいます。再発しないのが一番ですが、ヘルペスウイルスが感染すると神経節という場所にい続けます。ヘルペスウイルスを殺す事は現時点の医療では出来ません。それなので、再発頻度が問題になります。単純口唇ヘルペスの主な原因ウイルスである単純ヘルペスウイルス1型は初感染から1 年以内に1回くらいしか再発しなくて再発 頻度は20%前後と言われています。 これに比べて性器ヘルペスの主な原因ウイルスである単純ヘルペス2型は1年間に4回から 6回も再発して再発頻度は90%以上とも 言われています。ここが、口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違いになります。実は性器ヘルペスの方が口唇ヘルペスより再発頻度が高いんです。
性器ヘルペスの診断
性器ヘルペスの診断は、主に診察して見て診断する場合と、必要に応じて検査を行うことで確定します。検査は、水ぶくれ部位に、綿棒みたいなものをこすり、専用のキットで判定します。5分から10分程度で結果がでます。他には血液検査を行う場合もありますが、HSVに対する抗体を調べることで、過去の感染歴を確認しますが、初感染直後では抗体がまだ生成されていないことがあるため、補助的な役割にとどまります。あと、半年以上症状がでていない場合などは、抗体そのものが検出されない場合があります。
性器ヘルペスの予防策
性器ヘルペスの感染を予防するためのポイントを話します。
1. コンドームの使用
性交渉時には、コンドームを正しく使用することで、性器ヘルペスの感染リスクを大幅に低減することができます。ただし、コンドームで覆われていない部分からも感染する可能性があるため、コンドームだけでは完全に予防できないことも理解しておく必要があります。
2. 性的接触を避ける
ヘルペスの症状が出ている期間は、性的接触を避けることが重要です。無症候性排出の期間も感染リスクがあるため、症状がない場合でも、パートナーと話し合い、適切な予防策を講じることが大切です。
3. パートナーとのコミュニケーション
性器ヘルペスに感染している場合は、パートナーに正直に伝え、感染リスクについて話し合うことが必要です。パートナーが感染していない場合、抑制療法やコンドームの使用を含め、感染を予防するための対策を講じましょう。
4. 健康管理とストレス対策
性器ヘルペスの再発は、免疫力の低下やストレスが引き金となることが多いため、日常的に健康管理を行い、ストレスを適切に管理することが重要です。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動などが再発予防に役立ちます。
性器ヘルペスの治療法
先ほど言ったように性器ヘルペスは、完全に治癒することはなく、ウイルスは体内に潜伏し続けます。基本的に殺せないですが、症状をおさえる事はできます。のみ薬とぬり剤があります。飲み薬の方が効果があります。初感染以外は、疲れた時に体の中から皮膚にでる病気なので、のみ薬の方が効果が高いのは想像がつくと思います。こののみ薬は、開始が早ければ早いほど効果があります。
治療はそれで良いのですが、口唇ヘルペスより性器ヘルペスの方が、再発率が高いので、再発を抑える治療が認められています。パラシクロビルという薬を毎日継続して内服し、1か月おきにクリニックを受診し再発の状態を確認し、継続するか中止するか薬を増量するかを決定する治療法で再発抑制療法という治療になります。
再発自体をさせないための治療法です。年に6回以上再発を繰り返す患者さんが対象になります。この治療をすることにより、セックスパートナーへの感染を低下させることができます。
以前はこの治療しか出来ませんでしたが、最近では他にも治療薬の処方が認められるようになりました。Patient Initiated Therapyと言って、あらかじめ、飲み薬をもらっておいて、
チクチク・ピリピリという違和感が出てきた段階で、 患者さん自身の判断ですぐに飲んでもらう治療が保険で処方できるようになりました。2種類あって1回もしくは2回の内服で終わりになります。⽔ぶくれなどの症状を軽減したり、症状が出ずにすむ場合もあるので、治るまでの期間を短くすることができます。症状がでて6時間以内が特に有効です。薬が高いですので、是非お近くのクリニックで相談してください。
まとめです。
今回は性器ヘルペスについてのブログを作成しました。性器ヘルペスに感染すると、身体的な症状だけでなく、精神的な影響も受けることがあります。初めて感染が判明した際には、ショックや不安、パートナーへの申し訳なさなど、さまざまな感情が湧いてくるかもしれません。こうした感情は自然なものですが、必要以上に自分を責めたりせず、病気の正確な情報を得る必要があると思います。新しく再発予防の薬もありますので、是非一度クリニックに相談しましょう。
信州大学皮膚科 入局
佐久総合病院皮膚科
信州大学皮膚科
長野赤十字病院皮膚科(科長)
大宮皮膚科クリニック院長
こだま皮膚科院長
古河いけがき皮膚科 開院
皮膚科診療歴20年以上。年間3万人以上の診察を行い地域医療に貢献。YouTubeでは皮膚科疾患について詳しく解説をしています。
- 院長
- 生垣 英之
- 診療内容
- 一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
- TEL
- 0280-31-1217
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