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【水ぶくれ注意】キズパワーパッドは貼っていい?医師が教える正しい使い方や危険性と対処法

[2024.11.07]

以前水ぶくれについてのブログをだしましたが、今回は水ぶくれキズパワーパッドを貼っていいか?という話しをしたいと思います。

水ぶくれブログはこちら

キズパワーパッドとは

まずキズパワーパッドについて話します。キズパワーパッドについては、皆さんも一度は耳にしたことがあると思います。薬局などで売っている市販の絆創膏ですよね。名前は変わりますが、クィックパッドやケアリーブなども同様の商品になります。日常生活でできる小さな傷から軽いやけどまで、さまざまなシーンで活躍しますが、正しい使い方を知らないと、逆に傷を悪化させてしまうこともあります。まず、キズパワーパッドとは何かについて説明します。キズパワーパッドは、ハイドロコロイドという特殊な素材を使用した絆創膏の一種です。このハイドロコロイドは、傷口に貼ると傷から出る滲出液を吸収し、ゲル状に変化して傷口を覆います。このゲルは、傷口を乾燥させずに適度な湿潤環境を保ち、傷を早く、きれいに治すのを助けます。この浸出液には傷を治す成分がふくまれており、それを適度に残すことにより、傷を早く治す事ができるという事です。
湿潤環境という言葉がでましたが、湿潤環境は、傷の治癒において非常に重要な役割を果たします。昔は傷ができたら消毒して乾いたガーゼをしていましたが、そもそも消毒自体がかぶれたりするリスクがあり、感染していないきれいな傷なら消毒は全く必要ない事と先ほど言ったように浸出液自体に傷を治す成分がはいっているのに、すべて吸収するのは傷を余計に治りにくくさせてしまうので、現在は推奨されていません。もちろん感染している傷には消毒が必要な事もあります。

キズパワーパッドの長所

改めて言うとキズパワーパッドの利点については、主に4つあります。

  1. 湿潤環境を保つ: 先ほども述べたように、キズパワーパッドは湿潤環境を維持します。この環境は、細胞の再生を促進し、傷が早く治るのを助けます。
  2. かさぶたを防ぐ: かさぶたができると、その下の皮膚が硬くなり、治癒に時間がかかることがあります。また感染が起きやすくなってしまう場合があり、それを防ぐ効果があります。
  3. 防水性: キズパワーパッドは防水性があり、手を洗った時や、汗でもとれにくいです。シャワーや入浴の際にも外さずに使い続けることができますが、シャワーや入浴の時にとって洗った方が良い事も多いので、それは場合によります。
  4. 痛みの軽減: 基本的に傷は乾くと痛みがでます。湿潤環境によって、傷口の痛みやかゆみが軽減されます。また、外部からの刺激や摩擦を和らげる効果もあります。

キズパワーパッドの使い方

次に、キズパワーパッドの正しい使い方を説明します。これを守ることで、傷をきれいに早く治すことができます。

  1. 傷口を清潔に保つ: キズパワーパッドを貼る前に、まずは傷口を清潔にしましょう。ぬるま湯と石鹸で優しく洗浄し、細菌や汚れを取り除きます。洗浄後は、清潔なガーゼやタオルで傷口の水分をしっかりとやさしく拭き取ってください。
  2. キズパワーパッドを貼る: パッドを取り出し、粘着面に触れないように注意しながら、傷口に貼り付けます。空気が入らないようにしっかりと密着させることと傷より大きめに貼るのがポイントです。ぎりぎりで貼るとすぐに吸収されなくなった浸出液がでてきてしまいます。パッドがシワにならないように丁寧に貼りましょう。
  3. 交換のタイミング: キズパワーパッドは、基本的には剥がれるまで貼り続けてOKですが、剥がれていなくて、きれいに張り付いていたとしても3日毎には取り替えた方がいいです。しかし、もしパッドが汚れたり、水が入ったりしてしまった場合は、早めに交換してください。交換する場合は必ず全部はがしてぬるま湯と石鹸で傷をやさしく洗ってください。

キズパワーパッドを使用する際の注意点

キズパワーパッドを使用する際には、以下の点に注意してください。

  1.  貼る前に肌を乾燥させる: キズパワーパッドを貼る際、患部やその周辺が湿っていると、粘着力が低下し、パッドが剥がれやすくなります。必ず、傷口とその周辺を乾燥させてから貼るようにしましょう。
  2. 貼り直しは避ける: 一度貼ったキズパワーパッドを剥がして再び貼り直すのは避けましょう。粘着力が低下し、密着度が弱くなるため、効果が薄れる可能性があります。
  3. かゆみが生じた場合: パッドを貼った部分にかゆみが生じた場合は、かぶれている可能性があります。その場合は、すぐにパッドを外し、患部を清潔に洗浄してください。その際はお近くの病院に受診してください。

キズパワーパッドの選び方

さまざまな種類のキズパワーパッドが販売されています。使用する傷の大きさや場所に応じて、適切なサイズや形状を選ぶことが重要です。例えば、指や足に使いやすい小さなサイズや、広範囲の傷に適した大きめのパッドなどがあり、傷に最適なものを選ぶことで、より効果的に治癒をサポートできます。また、ドラッグストアで購入する際には、商品のパッケージに記載されている使用方法や注意事項をよく読み、自己判断で使用せず、迷った場合は薬剤師さんに相談することも良いと思います。
以上でキズパワーパッドの説明は終わりです。

水ぶくれにキズパワーパッドを貼っていいか?

まず、水ぶくれができる病気として、

① かぶれ(接触性皮膚炎)
② 虫刺され
③ ウイルス感染(水痘、帯状疱疹、単純疱疹、手足口病など)
④ とびひ(伝染性膿痂疹)
⑤ 汗疱(手や足に出来る細かい透ける水疱)
⑥ 外傷性水疱(靴擦れや激しい運動によるもの)
⑦ 類天疱瘡などの水疱症
⑧ やけど(熱傷)

がありますが、この中でキズパワーパッドを貼って良いのは、いくつあるでしょうか?皆さんも考えてください。正解は6番の外傷性水疱だけです。びっくりした人もいるのではないでしょうか?
しかも外傷性水疱と言っても、感染していない外傷性水疱のみです。水ぶくれの周りが赤くなっているともうダメになります。なので水ぶくれには貼ってはいけない場合が多いという事です。じゃあ、どういう時にキズパワーパッドを貼った方が良いのでしょうか?

キズパワーパッドを貼って良い傷

  1. 擦り傷や浅い切り傷: 擦り傷や何もせずにすぐに出血が止まった浅い切り傷は、キズパワーパッドの湿潤環境で早く治癒し、きれいな仕上がりになります。注意する点は、出血がつづくような深い切り傷はダメです。病院を受診してください。
  2. 軽度のやけど: 先ほどやけどはダメだって言ったじゃん。という声が聞こえてきそうですが、水疱ができていないごく軽いやけど、例えば、うっすら赤みがある程度なら使っても良いです。ただ、その程度なら塗る薬で十分と思います。
  3. 靴擦れ: 先ほど言ったように靴擦れでできた小さな水ぶくれや小範囲の皮膚の剥がれにも使用できます。靴擦れ部分を保護し、痛みを和らげる効果があります。繰り返しになりますが、周りが赤くなっている場合はだめですよ。

キズパワーパッドを貼ってはいけない傷

一方で、キズパワーパッドを貼るべきでない傷もあります。これらの傷に使用すると、逆に症状が悪化する恐れがあります。

  1. 深い傷や出血がある傷: 深い切り傷や出血が止まらない傷には使用しないでください。これらの傷の場合は、縫った方がいい場合が多いため、病院を受診してください。
  2. 膿が出ている傷: すでに感染している傷には、キズパワーパッドを使用するべきではありません。膿が溜まっている場合は、パッドで覆うことでさらに細菌が増えて感染が悪化する可能性があります。
  3. 動物に噛まれた傷: 動物に噛まれた傷は、そもそも細菌が多いし、傷が深く感染しやすいため、キズパワーパッドは絶対にやめてください。
  4. 水疱ができているやけどや広範囲のやけど:先ほども言いましたが、 広範囲にわたるやけどや水ぶくれができたやけどには、キズパワーパッドはやめてください。病院受診をしてください。あと、皮膚科医の立場から言うと冬場に使う湯たんぽのやけどでの使用は絶対にやめてください。湯たんぽのやけどは皮膚の深いところまで障害されている事が多く重症化することがほとんどです。

以上がキズパワーパッドを貼るべきでない傷になります。1のかぶれ、2の虫刺され、5の汗疱、7の水疱症、8の水疱ができているやけどは炎症が強く水疱ができている状態なので、キズパワーパッドを貼ると細菌が増えやすい状態になり、適していません。3のウイルス感染と4のとびひは感染症なので、論外です。以上から、水ぶくれにキズパワーパッドを貼って良いのは、周りが赤くなっていない靴擦れなどの外傷性水疱になります。
今回は水ぶくれにキズパワーパッドを貼っていいか?というブログでした。診察しているときに、傷にはキズパワーパッドがいいと思って貼ってくる人多いんですが、水ぶくれでもキズパワーパットがいいと思って貼ってくる人が多く、それで悪化して受診される患者さん後を絶たないので、このブログをつくりました。

当院の水ぶくれ解説ページ

この記事を執筆した人
生垣英之
生垣英之

信州大学皮膚科 入局
佐久総合病院皮膚科
信州大学皮膚科
長野赤十字病院皮膚科(科長)
大宮皮膚科クリニック院長
こだま皮膚科院長
古河いけがき皮膚科 開院

皮膚科診療歴20年以上。年間3万人以上の診察を行い地域医療に貢献。YouTubeでは皮膚科疾患について詳しく解説をしています。

院長
生垣 英之
診療内容
一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
TEL
0280-31-1217
※自由診療予約はweb予約をご利用ください
住所
〒306-0003
茨城県古河市緑町54-33
最寄駅
JR宇都宮線古河駅

診療時間

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▲:土曜午前の診療時間は、9:00~13:00
★:土曜日午後は、14:00~17:30(完全予約制)の手術、レーザー治療
※受付開始は、診療開始30分前(平日は9:00から、土曜日は8:30からです。)
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