【要注意】突然発症?意外過ぎるアレルギーを皮膚科専門医が解説!
今日は「【要注意】身近な食べ物が危険に!?意外なアレルギー」というテーマでお話しします。たとえば、サーファーが突然納豆アレルギーになったり、果物を食べたら喉がイガイガしたりすることがあります。 あれっアレルギーだったの?と思うような内容など私たちの生活に潜むアレルギーのリスクについて、分かりやすく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください!
以下のブログの内容はこちらのYouTubeでも解説していますので、良ければご覧ください
第1章:アレルギーって何?
アレルギーとは、体の免疫システムが本来害のないものを「敵」と勘違いして、過剰に反応してしまうことをいいます。 この反応を引き起こすものを「アレルゲン」と呼びます。通常、免疫システムは体を守るために働いています。細菌やウイルスなどの有害なものを攻撃し、健康を維持する重要な役割を果たします。 しかし、アレルギーの場合、花粉や食べ物、ハウスダストなど、本来無害なものに対しても免疫システムが過剰に反応し、炎症やかゆみ、腫れなどの症状を引き起こします。代表的なアレルギーには、次のようなものがあります。
- 食物アレルギー:特定の食べ物を食べることで、じんましんや呼吸困難などの症状が出る。
- 花粉症:スギやヒノキなどの花粉が原因で、くしゃみ・鼻水・目のかゆみが起こる。
- ハウスダストアレルギー:ホコリやダニの死骸が原因で、鼻炎や皮膚炎が起こる。
- 薬物アレルギー:特定の薬を飲むと発疹やアナフィラキシーショックを引き起こす。
これらはよく知られていますが、実はアレルギーの原因は意外なところにも潜んでいます。 たとえば、寒暖差が激しいことで発症する「寒暖差アレルギー」や、特定の金属に触れることで皮膚がかぶれる「金属アレルギー」などがあります。アレルギーは誰にでも起こる可能性があり、特定のものに長期間さらされることで突然発症することもあります。 そのため、自分の体の変化に気を配り、気になる症状があれば早めに医師に相談することが大切です。
第2章:意外なアレルギーの事例
ケース1:サーファーが突然納豆アレルギーに!?
ある日、サーフィンが趣味のAさんが、突然納豆を食べた後に発疹が出て、呼吸が苦しくなりました。 それは納豆のねばねばに含まれるポリガンマグルタミン酸略して「PGA」と呼ばれる成分が原因でした。この「PGA」はクラゲにも含まれており、クラゲの触手が標的に触れ、毒針を刺す時に「PGA」を生み出すとされています。クラゲに繰り返し刺されたAさんは、皮膚からPGAが体内へと入り、アレルギー反応が起きる状態になります。そこに、PGAを含む納豆を食べると、アレルゲンが侵入したと認識し症状を起こしてしまうのです。納豆に含まれるPGAが腸から体に吸収されるまでには時間がかかるため、食べた直後に症状がでる他の食物アレルギーとは違い、アレルギー症状がでるのは納豆を食べてから4〜12時間後と、かなり遅いのが特徴です。しかもPGAは食品の保存料・旨味成分としても使われており、インスタント食品、調味料やスポーツ飲料にも入っています。Aさんは今後食べ物に気をつけていかないといけなくなりました。
ケース2:果物アレルギーと花粉症の関係
花粉症の人がリンゴや桃を食べたときに、口や喉がイガイガすることがあります。 これは「花粉-食物アレルギー症候群」と呼ばれ、花粉と果物に共通して含まれるタンパクファミリーへの感作が成立するために起こります。特に春の時期のシラカバやハンノキの花粉症の人は、リンゴ、桃、梨、キウイなどでこの症状が出やすいので注意が必要です。 花粉症がある人でフルーツを食べると口の中に違和感があったり、イガイガする人は、食べ物を選ぶ際に注意し、必要に応じてアレルギー検査を受けることをおすすめします。
ケース3:魚介類アレルギーと加熱の影響
エビやカニのアレルギーは有名ですが、加熱すると症状が出にくくなる場合と、逆に変わらず発症する場合があります。例えば、エビやカニに含まれる「トロポミオシン」というタンパク質は熱に強いため、加熱してもアレルギー反応を引き起こします。 一方で、生魚に含まれる「アニサキス」という寄生虫によるアレルギーは、加熱すれば防ぐことができる事があります。また、魚介類アレルギーは一度発症すると重症化しやすいため、注意が必要です。 自分がどのアレルゲンに反応するのかを知るために、医師と相談しながら食事管理を行いましょう。
ケース4:寒暖差アレルギー
寒暖差アレルギーとは、気温の急激な変化によりくしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどの症状が出る状態を指します。 これは正式には「血管運動性鼻炎」と呼ばれ、アレルゲンが関与しているわけではありませんが、 アレルギー症状に似ているため「寒暖差アレルギー」と呼ばれることが多いです。寒い場所から急に暖かい部屋に入ると、鼻の粘膜の血管が拡張し、 それによって鼻水やくしゃみが出ることがあります。 また、温かい飲み物を飲むと鼻が詰まるといった症状が現れる人もいます。寒暖差アレルギーの対策としては、
- 1,外出時にマフラーやマスクを着用して寒暖差を和らげる
- 2,室内の温度を急激に変えない
- 3,適度な運動をして自律神経を整える。
といった方法が有効です。百日咳などの他の病気との診断が難しい場合があり、症状が続く時は医師に相談してみてください。
ケース5:金属アレルギー
金属アレルギーは、アクセサリーや時計、ベルトのバックルなどの金属が皮膚に触れることで発症します。 特にニッケルやコバルト、クロムなどが含まれる金属が原因となることが多いです。症状としては、金属が触れた部分に赤みやかゆみ、水ぶくれが現れることがあります。 また、ピアスやネックレスなどをつけた際に耳や首がかぶれることもよくあります。さらに私の本にも書いてありますが、歯の治療で使われる金属が原因で口の中に炎症を起こしたり、 金属アレルギーの影響で全身に湿疹が広がることもあります。対策としては、低アレルギー性の素材(チタン、プラチナ、セラミックなど)を選ぶ、アクセサリーを長時間つけっぱなしにしない、皮膚に異変を感じたらすぐに皮膚科を受診するなどが挙げられます。金属アレルギーは一度発症すると完治が難しいため、 日頃から注意することが重要です。
ケース6:酒アレルギー(アルコールアレルギー)
アルコールアレルギーは、お酒に含まれるアルコールそのもの、または一緒に入っている成分に体が過敏に反応してしまう状態です。お酒を飲むとすぐに顔が赤くなってしまうんで、アルコールアレルギーかもしれないと言う人がいますが、アルコールに弱いという事とは、全く違います。アルコールアレルギーの場合は、一口でも飲んでしまうと、全身が赤く腫れ上がったり、息苦しくなったりしてしまいます。症状は、先ほど言ったように顔が赤くなるだけでなく、体がかゆくなったり、吐き気がしたり、ひどいとアナフィラキシーショックという命にかかわる状態になることもあります。また、ビールやワインなどにはアルコール以外にも、原料の麦やブドウ、保存料などが入っているので、これにアレルギー反応を起こしている場合もあるんです。「たくさん飲まないと平気」と思いがちですが、アレルギーの場合は少量でも危険なので注意が必要です。お酒を少しでも飲むと体調が悪くなったときは、無理せずすぐに中止して、症状が強いときは医療機関に相談しましょう。無理して飲むのは、絶対にNGですよ!
ケース7:マダニによる牛肉アレルギー
普通、アレルギーって食べ物が原因のイメージが強いですよね。でも実は、森や草むらにいる「マダニ」にかまれると、赤身肉にアレルギーを起こしてしまうことがあるんです。このアレルギーは「α-Gal症候群(アルファギャルしょうこうぐん)」と呼ばれています。マダニにかまれると、「α-Gal」という糖の成分が体に入ってきて、それを異物とみなしてしまうんですね。すると、牛肉、豚肉などを食べたときに、体がアレルギー反応を起こしてしまいます。症状は、食後数時間してから、じんましんが出たり、吐き気や腹痛がしたり、ひどいと呼吸困難になることもあります。怖いのは、今まで普通にお肉を食べられていた人でも、突然このアレルギーになる可能性があるということ。特に、犬を飼っている人や登山やキャンプ、畑仕事など、自然の多い場所に行ったあとに体調がおかしくなったら要注意です!外で遊んだあとは、体にマダニがついていないかチェックする習慣をつけましょうね!
ケース8:パンケーキ症候群
皆さん、「パンケーキ症候群」って聞いたことありますか?もしかすると、あなたの朝ごはんが原因で体に異変が起きるかもしれないんです…。パンケーキ症候群と聞くと名前はちょっと可愛い感じがしますが、実はこれは別名「経口ダニアナフィラキシー」とも呼ばれており、ダニによる食物アレルギー反応のことなんです。古くなった小麦粉やホットケーキミックスなどにダニが繁殖して、それを調理して食べることで、アレルギー症状を引き起こすことがあります。粉製品は、常温で長期間保存されていると、コナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニといった微小なダニが繁殖することがあります。見た目では分からないことが多く、気付かずに調理してしまうことがあるのです。特に、高温多湿の日本の気候では、開封後の粉類はダニにとって絶好の住み家です。このダニが増えた状態で調理し、摂取すると、アレルギー反応が起こることがあり、それが「パンケーキ症候群」です。パンケーキ症候群で起こる症状は主に即時型アレルギー反応ですので、全身が真っ赤になったり、喉のかゆみ・腫れ、呼吸困難、嘔吐・腹痛などの症状がでます。これらは食後20〜30分以内に起きることが多く、重篤な場合は血圧低下、意識障害などのアナフィラキシーショックに至る危険もあります。小麦アレルギーと間違われる場合もあるので、注意が必要です。パンケーキ症候群の予防としては、
- 包装された小麦粉の保存期間は短くする。
- 小麦粉は冷蔵庫で保管し。保存期間は8週間以内にする
- 小麦粉をガラス容器やペットボトルに入れて、密封して保存する。
がとても重要です。
まとめとエンディング
いかがでしたか? 今回は意外なアレルギーの事例について解説しました。アレルギーは誰にでも起こりうるもので、気づかないうちに発症することもあります。また、私の本にも書いてありますが、過去は関係なくある日突然アレルギーが発症してしまいます。今回、紹介した事例を参考に日常生活の中で気をつけるポイントを意識してみてください。もし気になる症状があれば、一度アレルギーの血液検査を受けてみるのも良いですが、わかることに限界もあります。アレルギー検査についての動画を過去にあげていますので、そちらも是非ご覧ください。当クリニックでもアレルギーの血液検査をする事はできます。
- 院長
- 生垣 英之
- 診療内容
- 一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
- TEL
- 0280-31-1217
※自由診療予約はweb予約をご利用ください - 住所
- 〒306-0003
茨城県古河市緑町54-33 - 最寄駅
- JR宇都宮線古河駅