帯状疱疹=認知症リスク!? ワクチンで脳も守る!?帯状疱疹ワクチンの効果や費用、助成金についても皮膚科専門医が解説します
こんにちは。皮膚科専門医の生垣英之です。今日はちょっと意外なお話をしますね。
「帯状疱疹のワクチンが、認知症の予防にもつながるかもしれない」って、聞いたことありますか?実は、最近の研究で、そんな可能性が少しずつ明らかになってきたんです。
皮膚の話が、脳の健康とどうつながるのか…?ぜひ最後までごらんください
この院長ブログでもいくつか帯状疱疹のブログをあげています。
- 急増する帯状疱疹!その症状、原因と対策を皮膚科医が詳しく解説。〇〇ワクチンのせい?!
- 帯状疱疹でしてはいけないこと/悪化の予防と注意点:5つのNG行動を皮膚科専門医が解説
- 帯状疱疹ワクチンの選択:生ワクチン vs. 不活化ワクチン【効果と副作用の比較】シングリックスor弱毒性水痘ワクチンビケン
- 院長ブログ 帯状疱疹について
ですが、未だに帯状疱疹の患者さんがとても多く、特に高齢者の方で重症化する人をたくさんみています。痛くて眠れないと言われる事もありますし、数ヶ月たっても痛みで苦しむ患者さんもいらっしゃいます。そういう患者さんを少しでも減らすために、帯状疱疹のワクチンの普及が大事だと思いこのブログを作りました。
過去にも帯状疱疹のワクチンのブログをあげていますが、2025年4月からワクチン接種について国の新しい補助金制度もできたので、それについても話したいと思っています。
以下の内容はこちらのYouTubeでもご覧いただけます
第1章:帯状疱疹ってどんな病気?
まずは、帯状疱疹について、簡単におさらいしておきましょう。概要欄にも貼っておきますので、私の本や過去の動画も是非参考にしてください。帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが原因の病気です。子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが、実は体の中にずっと潜んでいて、大人になってから、疲れやストレス、加齢などで免疫が落ちたときに、再び暴れ出すんですね。すると、体の片側にピリピリとした痛みや、赤い発疹、水ぶくれが出てきます。これが帯状疱疹です。特に50代以上の方に多く、重症化したり、後遺症として「帯状疱疹後神経痛」という強い痛みが続いてしまうこともあります。
第2章:ワクチンで防げる?
この帯状疱疹、実はワクチンで予防ができる可能性があるんです。今、日本で使われている主なワクチンは2種類あります。ひとつは「弱毒生ワクチン」、もうひとつは「不活化ワクチン」といって、最近はこのシングリックスという不活化ワクチンがとても注目されています。2回の接種で、90%以上の高い予防効果が期待できるんです。
第3章:皮膚の話が、なぜ“認知症”に?
ここからが本題です。帯状疱疹と認知症? えっ、関係あるの?って思いますよね。私も最初は、ちょっとびっくりしました。でも、ここ数年の研究で、帯状疱疹のウイルスが、脳や神経の炎症と関係しているかもしれないっていう報告が出てきてるんです。帯状疱疹にかかった人は、その後、認知症を発症しやすくなる傾向がある。逆に、帯状疱疹のワクチンを打った人では、認知症の発症が抑えられていた――そんなデータが、アメリカやイギリスの大規模な調査から見えてきています。
第4章:研究で分かったこと
たとえば、アメリカの研究では、100万人以上の高齢者を調べた結果、ワクチンを打っていた人は、認知症の発症率が約20%も低かったというんです。さらにイギリスの調査でも、認知症のリスクが20%も低下していたという結果がでています。イギリスの研究では、男性より女性で効果があったとの事でした。すごいですよね。皮膚の病気を予防していたら、脳の健康まで守れていた…そんな可能性があるわけです。
第5章:なぜ脳に影響があるの?
でも、なぜワクチンで認知症が減るんでしょうか?これにはいくつかの仮説があります。ひとつは、「慢性的な炎症を防ぐ」ということ。帯状疱疹のウイルスが活性化すると、神経に炎症が起きます。それが長く続くことで、脳にも悪い影響があるのでは…と考えられているんですね。また、ウイルスが中枢神経にまで入り込んで、神経細胞を傷つけるケースもあります。さらに、ワクチンによって免疫のバランスが整うことで、脳の老化そのものを遅らせる可能性も指摘されています。
第6章:誰がワクチンを打つべき?
では、帯状疱疹ワクチンは、どんな人におすすめでしょうか?私の本にも書いてありますが、基本的には、50歳以上のすべての方におすすめです。・免疫が落ちてきたと感じる方・糖尿病などの持病がある方は、より積極的に接種を検討した方が良いと思います。ただし、ここが落とし穴で、帯状疱疹と診断した患者さんに原因は体力の低下です。と言うと自分は体力が有り余っているとか、全然疲れていないと言う人がいます。特に50代の方に多い印象です。ご自身は若いつもりでも、体は正直です。なので、50・60代だけど、持病もないし、元気なのでワクチン必要ないと思っている方も是非検討してみてください。
この話しをすると、自分自身も50歳なので、非常に耳が痛い気持ちではあります。先程少し触れましたが、現在、日本で使われている帯状疱疹ワクチンには大きく2種類あります。ひとつは「生ワクチン」といって、従来から使われてきたタイプ。1回の接種で済みますが、持病がある方や免疫が弱い方には使いづらい場合があります。もうひとつは「不活化ワクチン」といって、最近使われるようになったタイプ。2回接種が必要ですが、生ワクチンより高い予防効果があり、免疫が落ちている方にも対応できます。予防接種ですので費用は自己負担にはなってしまうんですが、生ワクチンの方が安いです。副反応も生ワクチンの方がでにくいです。不活化ワクチンの主な副反応は注射部位の腫れや痛み。頭痛・発熱などです。まとめると、不活化ワクチンの方が効果がありますが、値段が高いのと副反応が強くでる可能性があります。逆に生ワクチンは副反応が少なく値段は安いですが、効果は劣ります。どちらが適しているかは、その方の年齢や健康状態、生活環境などを見ながら決めていきます。たとえば、「家族に赤ちゃんがいる」とか、「持病があって心配」という方には、よりしっかり予防できるワクチンをおすすめすることもありますし、「忙しくて通院の回数を減らしたい」「副反応が強くでるのは嫌だ」という方には1回で済むワクチンが向いているかもしれません。帯状疱疹っていったんかかってしまうと、その後の痛みや治療が長く続くこともある病気なので、そのリスクを考えると、ワクチンはとても価値のある“将来への投資”だと私は思っています。とは言っても、不活化ワクチンは1回2万円くらい2回打つので合計4万円から5万円ほどします。これはお財布に痛いのは事実です。
そんなあなたに朗報です。2025年4月から帯状疱疹ワクチンが定期接種扱いになり、公費で費用の一部がカバーされます。対象は65歳を迎える年度の方。そして経過措置として2025年度から2029年度までの五年間、70・75・80・85・90・95・100歳になる方にも接種券が届きます。さらに重い免疫障害がある60〜64歳の方も対象です。届いた封筒に同封された接種券と予診票は大切に保管してください。不活化ワクチンだと半額くらいになると思います。これは大きいですよね。いままで視聴していた、50歳から64歳の自分は関係ないじゃんと思った方、諦めるのはまだ早いです。50歳以上の方の場合、自治体によっては、補助を受けられます。ネットで「帯状疱疹ワクチン 定期接種 自治体」で是非調べてみてください。そして、最後に50歳以下の方は、残念ながら完全に自己負担になってしまいますが、打つ事自体は医師の判断によって可能です。不安な方は一度相談してみてください。
第7章:まとめ
今日は「帯状疱疹ワクチンが、認知症の予防になるかもしれない」という、ちょっと驚きの研究をご紹介しました。国の補助によって帯状疱疹ワクチンは“痛みの予防”に加えて“認知症リスク低減”というボーナス効果まで期待できる身近なワクチンになりました。対象年齢のご家族がいる方は、このブログをシェアしてあげてください。そしてご自身が対象の方は、接種券をなくさないうちに早めに予約を取りましょう。健康な肌と脳で、これからの人生をもっと楽しんでくださいね。
- 院長
- 生垣 英之
- 診療内容
- 一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
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- 0280-31-1217
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