肝斑・シミに効果あり?トラネキサム酸の効果・内服薬・副作用まで全部教えます【皮膚科医解説】
今日は、シミや肝斑の治療でよく使われる「トラネキサム酸」、お薬の名前でいうと「トランサミン」について、わかりやすくご紹介していきます。まず「トラネキサム酸ってなに?」というところから、詳しくお話していきますね。
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①トラネキサム酸(トランサミン)とは?
トラネキサム酸、薬の名前では「トランサミン」とも呼ばれていて、もともとは出血を抑える目的で作られたお薬なんです。
1960年代に日本で開発されて、手術後の出血や、生理が重い方の止血などによく使われてきました。
でも実はその後、このお薬が「肌のシミや肝斑にも効果がある」ということがわかってきたんです。
じゃあ、なぜシミに効くのか?というと、ポイントは“炎症”と“メラニン”です。
肌が紫外線や摩擦を受けると、体が反応して炎症が起こりますよね。
この炎症が「メラニンを作れ!」という指令を出して、肌の中で黒い色素が作られてしまいます。
それが色素沈着やシミの原因になるんです。
トラネキサム酸は、その「メラニンを作れ!」という信号の元になる物質――特にプラスミンという酵素の働きをブロックしてくれる作用があるんですね。
だから、シミの予防や改善につながる、というわけです。
特に「肝斑(かんぱん)」という、頬骨あたりに左右対称に出るもやっとしたシミにはよく効くとされていて、内服薬として皮膚科で処方されることも多いです。
もともと血液関係の薬としてスタートしたトラネキサム酸ですが、いまでは美容や美白の分野でも欠かせない成分になってきました。
②トラネキサム酸の特徴と効果
トラネキサム酸の一番の特徴は、「肝斑に高い効果がある」という点です。
特に、頬骨のあたりに左右対称にもやっと出るようなシミ、「肝斑」に悩んでいる方には、第一選択の治療薬といってもいいくらい。
他のシミと違って、レーザーが逆効果になってしまう肝斑には、飲み薬での治療がとても重要なんです。
じゃあ、どれくらいで効果を感じるの?というと、これは個人差がありますが、だいたい1〜2ヶ月くらいで「肌が明るくなってきたかな?」と実感する方が多いです。
3ヶ月以上かけて、じわじわ効いてくるタイプのお薬なので、コツコツ継続が大切ですね。
安全性についても、基本的には副作用が少なく、長期的に使われているお薬です。
もちろん、血栓症のリスクなどには注意が必要ですが、医師の管理のもとで使えば、比較的安心して使えるお薬です。
よくある質問で、「白髪が増えるって本当ですか?」という声もあります。
これについては、明確な医学的根拠はありません。
ただ、ごくごくまれに「髪の色素が薄くなった」といった報告があるにはあります。
あくまでレアなケースですが、髪や眉の色が気になる方は、注意深く経過をみていくと安心ですね。
まとめると、トラネキサム酸は即効性はないけど、着実に肌の色ムラや肝斑を改善してくれる、頼れる存在。
副作用も少なく、比較的使いやすい美白治療薬のひとつです。
③トラネキサム酸の副作用と注意点
まず大前提として、トラネキサム酸は比較的安全性の高いお薬です。
でも、どんなお薬にも副作用はありますので、使う際はやっぱり注意点をしっかり知っておくことが大切です。
トラネキサム酸は比較的安全なお薬とされていますが、内服する前には必ずスクリーニング、つまり事前のチェックがとても大切です。
特に注意が必要なのが、「血栓症」のリスク。
トラネキサム酸には血を固まりやすくする作用があるため、過去に血栓症を起こしたことがある方や、脳梗塞・心筋梗塞などの既往歴がある方は、基本的に内服はできません。
それだけでなく、家族に血栓症の方がいた場合や、血が固まりやすい体質の方もリスクがあるため、あらかじめ申告していただくことが大切です。
さらに、喫煙者や肥満気味の方、そして貧血のある方も注意が必要です。
これらはすべて血液の流れや血栓のリスクに影響する要因だからです。
たとえば、ピルを飲んでいる方がトラネキサム酸を併用してしまうと、血栓のリスクがさらに高まる可能性があります。
ですので、「飲み始める前に体の状態をしっかりチェックする」ことが、安全に使うための第一歩なんですね。
当院では、内服前に既往歴や生活習慣、体質などを丁寧に確認して、必要な方には血液検査なども行ったうえで処方をしています。
見た目に関わる美容治療だからこそ、「安全第一」で進めることがとても大切なんです。
それ以外の副作用としては、比較的軽めのものですが、
- 胃のむかつき
- 食欲不振
- 吐き気
- 下痢
などの消化器症状が出ることがあります。
特に空腹時に服用すると、こういった症状が出やすくなることがあるので、食後に飲むのがおすすめです。
あと、意外と見落とされがちなのが、長期間なんとなく自己判断で飲み続けてしまうことです。
肝斑やシミの治療は、どうしても時間がかかるので、ずっと飲み続けたくなる気持ちもわかるんですが、
やっぱり一定期間ごとに効果を評価して、必要に応じてお薬を減らしたり、他の治療に切り替えたりすることも大事なんですね。
安全に、そして効果的にトラネキサム酸を使うためには、「自己判断せず、医師と一緒に治療方針を決める」ことがなにより大切です。
④トラネキサム酸の使用方法(内服薬・外用薬)
まず、内服薬(飲み薬)の使い方についてです。
トラネキサム酸は、1日あたり750mg〜1500mg程度を2〜3回に分けて服用するのが一般的です。
たとえば、250mgの錠剤を1回2錠、朝昼夕と3回飲むというような感じですね。
飲むタイミングは基本的には食後がおすすめ。
空腹時に飲むと、まれに胃のむかつきなどが出やすくなることがあるため、食事の後が安心です。
肝斑や色素沈着の治療で使う場合は、最低でも1〜2ヶ月以上の継続が必要です。
ただし、長期間自己判断で続けるのはNG。
3ヶ月ごとくらいに一度は効果や副作用をチェックして、必要があれば休薬や調整を行うようにしましょう。
次に、**外用薬(塗り薬)**としての使い方についてです。
トラネキサム酸を含んだ化粧品や美容液、医薬部外品なども増えていて、最近では市販でも手に入るようになってきました。
まず、トラネキサム酸の外用薬は、皮膚に直接塗ることで、肌表面の炎症を抑え、メラニンの生成をブロックしてくれる働きがあります。
ただし、飲み薬に比べると、成分の浸透が限定的なため、効果はマイルドで、即効性よりも継続してじっくり効かせていくイメージです。
よく聞かれるのが、「化粧品と医薬品の違いってなに?」という質問です。
ざっくり言うと、医薬品の外用薬は濃度が高めで、医師の判断で処方されることが多いのに対し、化粧品は効果は穏やかですが、誰でもドラッグストアなどで購入できて、日々のスキンケアとして使えるのが特徴です。
具体的な商品でいうと、トランシーノ薬用スキンケアシリーズや、ケシミンクリーム、オバジのホワイトニング美容液など、トラネキサム酸配合のアイテムが増えてきています。
これらは、美白を目的とした日常的なスキンケアに取り入れやすいので、肝斑やくすみが気になる方にはおすすめです。
そして、もっとも効果的なのが、内服薬と外用薬の併用です。
内側からは飲み薬で炎症の伝達を抑えつつ、外側からはクリームなどで肌に直接アプローチする。
この“ダブルケア”をすることで、より早く、より安定した美白効果が期待できます。
⑤トラネキサム酸の効果的な使用法
まず大事なのは、「継続すること」です。
トラネキサム酸は、じわじわ効いてくるタイプのお薬なので、1〜2週間で結果を求めるのは難しいです。
しっかりと2〜3ヶ月は継続して、肌のトーンやシミの変化を観察することが大切です。
そして、内服だけに頼らず、「紫外線対策」と「スキンケア」も一緒に行うことが、効果を高めるポイントになります。
たとえば、日焼け止め。
これは一年中、毎日使ってください。
曇りの日や室内でも紫外線はゼロではありませんし、紫外線は肝斑や色素沈着の最大の敵です。
それから、「こすらないスキンケア」も大切。
洗顔やクレンジングのとき、無意識に肌をゴシゴシしていませんか?
摩擦による刺激は、メラニンを増やす原因になるので、やさしく、短時間で済ませるのがコツです。
また、ストレスやホルモンバランスの乱れも肝斑の悪化要因になります。
できる範囲で、睡眠や食生活、リラックスの時間も大事にしてください。
さらに、当院ではトラネキサム酸だけでなく、ビタミンCやL-システインなどの美白サポート成分を一緒に使うこともおすすめしています。
これらは、メラニンの生成を抑えたり、肌の代謝を助けたりして、より相乗効果が期待できます。
最後にもう一つ。
効果があっても、ずっと飲み続けることが正解とは限りません。
症状が落ち着いたら、一度休薬して様子を見るという判断も必要です。
そういった判断は、自己流ではなく、必ず医師と相談して決めていきましょう。
当院でもトラネキサム酸の内服や、イオン導入を行っています。
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- 院長
- 生垣 英之
- 診療内容
- 一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
- TEL
- 0280-31-1217
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