メニュー

アトピーが悪化するNG習慣5選!あなたもやっていませんか?

[2025.04.18]

今日は、多くのアトピー性皮膚炎の患者さんが実は知らず知らずのうちにやっている、アトピー性皮膚炎を悪化させるNG習慣5つについて、話したいと思います。そもそもアトピー性皮膚炎は、慢性的な炎症性皮膚疾患であり、多くの人がその症状に悩んでいます。特に、かゆみや湿疹が悪化すると、生活の質が著しく低下してしまいます。しかし、日常生活の何気ない習慣がアトピーを悪化させている可能性があることをご存じでしょうか?今回は、皮膚科医の視点から「アトピーが悪化するNG習慣5選」を詳しく解説し、それぞれの改善策についても紹介します。あなたも無意識のうちにこれらのNG習慣をしていないか、ぜひチェックしてみてください。
以下の内容はこちらのYouTubeでも解説していますので良ければごらんください。

ちなみに過去に他のアトピー性皮膚炎のブログもあげていますので、そちらも是非ごらんください。

アトピー性皮膚炎解説!正しい知識で健やかな肌を手に入れよう/アトピーの原因/薬/治療について

1. 無意識の「掻く」行動

アトピー性皮膚炎の一番の症状は「かゆみ」です。このかゆみに耐えられず、知らずのうちに皮膚を掻きむしること皮膚は傷つきます。掻いた皮膚はどうなるかというと、皮膚のバリアが壊れ、ちょっとした刺激でまたかゆみを感じやすくなります。たとえば、風にあたったり服がこすれたりそれだけで痒くなってしまいます。そうするとまたかいてしまうという悪循環です。これがなかなか治らない原因の一つです。では、なんでこんなにかゆいかというと、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚の中をみてみると、末梢神経が皮膚の表面近くまで枝を伸ばすことで引き起こされているといわれています。「なんのこっちゃ」と思うと思いますが、目をつぶって、肌を触っても何か肌にあたっているという事がわかると思いますが、これは末梢神経があるおかげでわかります。

この図をみてください。この図は皮膚の断面図ですが、角層、表皮、真皮、皮下脂肪となっていきます。通常末梢神経はこの図のように真皮までしかないのが普通です。皮膚が絶えず刺激されることで、末梢神経が皮膚の表皮まで枝を伸ばします。末梢神経に 直接作用して痒みを引き起こす物質は大きく分け て,ヒスタミン依存性と非依存性のものになります。ヒスタミンとは、アレルギー反応や炎症に関わる生理活性物質です。蕁麻疹や花粉症の治療でこのヒスタミンを抑える治療をします。アトピー性皮膚炎では、ヒスタミン非依存性の物質の関与が重要になります。なんで伸びてしまうかというと、今現時点で言われているのが、皮膚を刺激すると、ヒスタミンではない物質が末梢神経に作用して痒みを感じます。乾燥により皮膚から水分とカルシウムイオンが抜け出すと、神経線維の伸長を抑えるたんぱく質であるセマフォリン3Aというタンパク質が生成されなくなります。その結果、末梢神経が伸びているんじゃないかと言われています。なので、アトピー性皮膚炎のかゆみの治療薬として、抗ヒスタミン薬を処方する場合がありますが、効果が弱い事があります。これがなかなか痒みが止められない原因の一つです。ヒスタミン非依存性のものでアトピー性皮膚炎にとって重要なのは、IL―4,IL―13,IL―31です。インターロイキンというのは、免疫細胞が産生するタンパク質で、免疫反応に関与する生理活性物質です。これらを抑える治療が以前まではできませんでしたが、生物学的製剤と言われる注射の薬が使えるようになりました。他には、光線療法も神経が伸びるのを抑えるといわれています。かいてバリア機能がさらに低下し、ばい菌感染のリスクが上がり、蜂窩織炎といって、ばい菌感染によって真っ赤に腫れてしまうのを繰り返したり、ウイルス感染を繰り返してしまう事もあります。

改善策

  • 爪を短く切る
    掻きむしりによるダメージを防ぐため、爪は短く整えておく。
     就寝時に無意識に掻いてしまう場合は、綿の手袋をつけて寝る。
  •  かゆみ対策をする
    かゆみが強いときは冷やしたタオルやケーキを買った時についてくる保冷剤を当てるなどして、物理的な刺激を避けてください。とにかく冷やしてみてください。
  • 摩擦を減らす服装を選ぶ
    チクチクするウールや化学繊維の服は避け、綿100%などの刺激の少ない素材を選ぶ。
     継ぎ目のないインナーやゆったりした服を着ることで、摩擦を軽減することができます。
  • 症状が強い場合は皮膚科を受診する
    面倒くさいとは思いますが是非皮膚科を受診してください。薬をしっかり塗ってください。あとで治療についても話しますが、ステロイド以外の薬もあります。先ほどでた生物学的製剤もあります。

2. 間違った入浴と洗い方

アトピー性皮膚炎の人の肌は、もともと乾燥肌で、バリア機能が低下しており、外部刺激に対して非常に敏感です。市販のボディソープや洗顔料には、界面活性剤などの強い洗浄成分が含まれていることが多く、皮脂を過剰に奪ってしまいます。本来、皮脂は肌の保護膜として機能し、乾燥や外部刺激から肌を守る役割を担っています。そのため、皮脂を奪いすぎると、皮膚の乾燥が進み、かゆみや炎症が悪化する原因になります。さらに、防腐剤や香料、アルコール成分が多く含まれている製品は、肌への刺激が強く、アトピー性皮膚炎の悪化を引き起こす可能性があるため、慎重に選ぶ必要があります。

あと、熱いお風呂や長風呂は避けてください。お風呂好きな方も多いと思いますが、長時間お湯につかると皮膚を覆っている皮脂が流れ落ちてしまいます。皮脂は皮膚から水分の蒸発を防ぎうるおいを保ってくれる天然の保護膜です。これがなくなると当然皮膚は乾燥してしまいます。また、長風呂によって皮膚のもっとも外側にある角質層がふやけてバリア機能が低下します。すると皮膚は外からの刺激にさらされ、ダメージを受けやすくなります。さらに、お風呂あがりに皮膚の表面の水分が蒸発する際、皮膚内部の水分も一緒に蒸発してしまいますので、ますます乾燥しやすくなるのです。42度以上になると皮膚の油分が溶けやすくなります。アトピー性皮膚炎の方はもともと肌が乾燥していますので、長風呂はおすすめできません。ただ、ストレス解消にもなりますので、湯につかってはいけませんという事ではありません。

改善策

 

  • 低刺激の石鹸や洗顔料を選ぶ
    成分表示を確認し、無添加・低刺激の製品を使用してください。
    固形石鹸や敏感肌用の製品を選ぶと、肌への刺激を抑えながら洗浄できます。
  • 洗い方に注意する
    首から下の体の洗い方ですが、冬の乾燥時期は、手で石鹸を泡立てて足と陰部と脇だけ洗うので十分です。手でなでるように洗ってください。
    汗をかいた場合、乾燥が強い場合はボディソープではなくぬるま湯で軽く流す程度でも大丈夫です。
  • ぬるま湯を使用する
    先ほど言ったように熱いお湯は皮脂を奪いやすいため、38~40度のぬるま湯を使用する。
    冬場でも熱すぎるお湯での入浴は避け、長湯はしなでください。

3. 保湿を怠る

さっきから繰り返しているように、アトピー性皮膚炎の肌は、通常の肌に比べて水分を保持する力が弱いため、乾燥しやすい状態です。皮膚の水分量が減少すると、角質層がダメージを受け、バリア機能がさらに低下します。すると、外部刺激に対する抵抗力がなくなり、かゆみが増し、炎症が悪化する悪循環に陥ります。なので、保湿がとても大事になります。通常は体の保湿は、乾燥時期の冬のみで十分ですが、アトピー性皮膚炎の方は、乾燥具合によっては、夏の保湿が必要になる場合もあります。他には汗を放置すると、乾燥の原因になることもあります。

改善策

  • お風呂上がり5分以内に保湿する
    お風呂の後は肌の水分が蒸発しやすいため、できるだけ早く保湿を行ってください。
    まだ肌が湿っている状態で保湿剤を塗ると、水分を閉じ込めることができます。
  • 自分の肌に合った保湿剤を選ぶ
    保湿剤には様々な種類があり、色々と試すのが良いと思います。皮膚科で処方されるヘパリン類似物質やワセリンなどを活用するのも有効です。
    かぶれやすい人は無香料・無着色・アルコールフリーの製品を選ぶのもいいでしょう。
  • こまめに保湿する
    「保湿剤を塗ってください」って言うのはとても簡単ですが、実際保湿剤をぬるのはとてもめんどくさいですよね。しかも冬は、お風呂上がりに一刻でも早く服を着たいのに、保湿剤を全身に塗らないといけないし、時間がない朝にもぬらないといけない。本当に大変です。ただそれでもぬってほしいです。1日2回以上は保湿してください。
    乾燥しやすい冬やエアコンの効いた室内では、特に注意して保湿を行ってください。
  • 適切な量や塗り方をする
    ゴシゴシこすらず、手のひらで優しくなじませて、皮膚に刺激を与えないように、軽く押さえるように塗布してください。
    広範囲に塗る場合は、手で温めてから塗ると浸透しやすいです。
    ティシュがくっつくくらい全体的に塗ってください。
  • 加湿器を活用し、室内の湿度を保つ
    室内の湿度が低いと肌が乾燥しやすいため、40~60%程度の湿度を保つようにしてください。
    加湿器を不衛生に使うと逆にカビが繁殖することもあり、注意してください。

4. 生活習慣を正さない

アトピー性皮膚炎の患者さんを見ていると、生活が乱れたり、転職や引っ越しなどの環境の変化で皮膚の状態が悪くなる方もいらっしゃいます。食事の影響もうけることもあります。他には、ホコリやダニもアトピーの悪化要因の一つです。過度のストレスを感じると、自律神経のうち交感神経が過剰に活性化され、免疫バランスが崩れやすくなります。その結果、炎症を抑える力が低下し、アトピーの症状が悪化しやすくなります。他には、犬や猫の毛などの放置で悪化することもあります。

改善策

  • 適度にリラックスする時間を作る
    深呼吸やストレッチ、ヨガなどのリラクゼーション法を取り入れる。
    自分の好きな趣味に没頭する時間を確保する。
    音楽を聴いたり、アロマテラピーを活用してリラックスする。
  • 睡眠の質を高める・睡眠時間の確保
    規則正しい生活を送り、寝る前にスマホやパソコンの使用を控える。
    カフェインやアルコールの摂取を控え、寝る前のリラックス時間を作る。
    睡眠時間を7時間以上確保する。
  • 掃除をこまめにする
    カーペットやラグを掃除する。
    枕カバーやシーツを替える
    バランスの良い食事を心がける:
  • 食事について色々といわれていますが、これだけを食べれば良いというのはありません。腹八分で、バランスよく食事をとるのが一番。
  • 軽い運動を取り入れる
    ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす。
    適度な運動はストレスホルモンを抑え、リラックス効果を高める。

5. 自己流の治療をする

なぜNGなのか?
自己流の治療や、放っておいてかなり悪くなってこられる患者さんがかなりいらっしゃいます。通院が面倒くさいという気持ちはわかります。アトピー性皮膚炎は慢性疾患ですので、1回病院を受診すれば終わりというわけにはいきません。現時点では、1回の治療で完全に治しますよという治療は残念ながらありません。どうしても通院が必要になります。治療に関しても、アトピー性皮膚炎の治療はステロイド外用剤が主体です。他のブログでも話しましたが、ステロイド外用剤と言うと、1部の人は副作用を懸念すると思いますが、上手に使用するのが良いと思っています。確かにずっと塗っていると副作用が出ることがあります。特に顔はステロイドの吸収率が良く、副作用が出やすい場所です。具体的にはニキビみたいな発疹が出たり、顔が赤くなることもあります。ただし、大量でない限り、全身の副作用が出ることほとんどありません。そもそもそもステロイド外用剤は60年以上の歴史があります。もし危険な薬剤なら既に大問題になっているはずです。ステロイドを処方しても回数や量を守らない人もいます。ただ、結局悪化したときに、さらに強いステロイドを使わなくいけなくなったり、頻回に通院しなくてはいけなくなったりするのであれば、はじめから適切な治療を受けた方がいいと思いませんか?それに先ほども生物学的製剤について話しましたが、ステロイド以外の治療の選択肢が非常に広かっています。塗り薬もアトピー性皮膚炎の方専用のステロイド以外の塗り薬の種類も増えています。ステロイド一辺倒の治療から変わっていますので、コントロールが上手くいかない方は是非、皮膚科に相談してみてください

改善策

  • 処方された薬をしっかり塗る
    塗る場所によって塗り薬が決まっています。間違えないように適切な量をぬってください。
  • 面倒くさがらず通院する
    お気持ちはわかりますが、慢性疾患ですので長期的な治療が必要になります。
    注射などの昔は考えられなかった治療ができますので、相談してみてください。

まとめ

アトピー性皮膚炎を悪化させるNG習慣として、

  1. 無意識の掻く行動
  2. 間違った入浴と洗い方
  3. 保湿を怠る
  4. 生活習慣を正さない
  5. 自己流の治療をする

の5つを紹介しました。これらの習慣を見直すことで、アトピーの症状を緩和し、より快適な生活を送ることが可能になります。ぜひ、今日からできる対策を取り入れて、健康な肌を目指しましょう!

院長
生垣 英之
診療内容
一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
TEL
0280-31-1217
※自由診療予約はweb予約をご利用ください
住所
〒306-0003
茨城県古河市緑町54-33
最寄駅
JR宇都宮線古河駅

診療時間

診療時間
9:30~13:00
14:30~18:30

▲:土曜午前の診療時間は、9:00~13:00
★:土曜日午後は、14:00~17:30(完全予約制)の手術、レーザー治療
※受付開始は、診療開始30分前(平日は9:00から、土曜日は8:30からです。)
※最終受付は終了時間の15分前となります。

休診日 木曜 日曜日 祝日

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME