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手足口病院長ブログ

[2024.09.09]

現在手足口病が大流行しています。

国立感染症研究所の調査によると、2015年からの過去10年間の調査で2024年は過去最多の感染者となっているようです。

手足口病って名前はよく耳にするけど、どんな病気かわかっていない人って多いんじゃないでしょうか?その名の通り、手と足と口の皮膚に症状が出やすい病気のため、皮膚科受診される方も多い病気です。私は茨城県で皮膚科医をしていますがニュースの通り、確かに今年は手足口病の患者さんがかなり多いなと感じています。この手足口病ですが、他の皮膚病変とは違った特徴も多い病気です。ですので今回は皮膚科医からの視点で見た手足口病についてのお話をさせていただきたいと思います。

こちらのブログの内容は以下のYouTubeでも解説しております

手足口病とは

そもそも手足口病って何でしょうか?一言で言うと、ウイルスの感染症です。エンテロウィルスと言うウィルスによる感染症なんですが、エンテロウィルスにも種類がたくさんあり、1種類のウィルスではなく、コクサッキーウイルスなど複数のウイルスが原因でおこります。

そのため一年間に2回以上かかることもありますし、年によって流行するウイルスが異なるため、毎年かかることもあります。手足口病は、文字通り手のひら、足の裏、足の甲、口の中に赤みやボツボツがでます。痒みや痛みを伴うことがあります。口のかなには潰瘍といって粘膜がえぐれてしまうことがあり、これにより食事や飲み物が困難になる場合もあります。

このように手足口に皮膚症状がでるため、手足口病と名付けられました。ただ先ほど言ったように何種類かのウィルスが原因でおこりますので、ウィルスの種類によってはお尻や肘やひざといった、他の場所にもできることがあります。もうそうなると手足口病の病名って何なんだろうと思ってしまいますが、手足口以外にも症状がでます。

増加の理由

そして手足口病は6から8月に流行することが多く、夏風邪の1つとも言われます。毎年夏休み時期が近づくと手足口病の名前をよく耳にする親御さんも多いのではないでしょうか?夏にかかりやすい理由としては、原因となるウイルスが暖かい環境でより活発になるため、夏の高温多湿な気候はこれらのウイルスが繁殖するのに適していると言われています。

また、プールやイベントごとなどの行事が増え、人との接触が増えることも挙げられます。また、今年の酷暑による疲れや、屋外ではなく室内での活動時間の増加もウイルすが蔓延しやすい要因だと考えられます。

症状

手足口病は90%位は5歳以下の子供になると言われています。皮膚以外の症状としては、発熱、咳、鼻水、下痢や嘔吐などの消化器症状がでます。発熱は高熱になる事はあまりなく、1日から3日ほどで改善していく事が多いです。咳や鼻水も軽症の場合が多いですが、1週間ほど症状が継続する事はあります。

感染経路は接触感染、飛沫感染、糞口感染があります。飛沫感染は咳やくしゃみが飛び散った期末などが口や粘膜に触れることで感染します。接触感染は同じ食器を使って食事したり、唾液のついたおもちゃなどを触ることによって移ることがあります。また糞口感染は感染者の排泄物に触れることで感染します。

具体的には、おむつの変えたりするときに移ることになります。いずれにしろ、マスク、手洗いうがいを徹底することが感染予防になります。皮膚の症状は1週間ほどで治ることがほとんどです。

先ほどウィルスはいろいろな種類のウィルスで感染すると言いましたが、コクサッキーウィルスA6感染による手足口病の場合は症状がなくなってから1ヵ月以内に一時的に手の爪が剥がれてしまうことがあります。

治療

治療方法ですけども、基本的に特効薬はありません。なので、出ている症状にたいしての対象療法になります。例えば熱が辛い方は解熱剤を出したり、咳の方に対しては咳止めをだしたりするなどの対症療法になります。

ただ体の抵抗力が下がっている人でなければ、ほとんど軽症に終わることが多いです。皮膚科では手足口病の発疹に対しては弱めの炎症を抑えるぬり薬を出したりとかするぐらいしか特にありません。

例えば子供で脳までウィルスが入ってしまうと重症化することがあり、それは入院の治療が必要になります。ただ重症化するのはごくまでです。潜伏期間期間は3日から7日ほどで、この潜伏期間もウィルスは排出されているので、うつる可能性はあります。

あと通常のウィルス感染だと一度感染すると抗体というのができてウィルスにかかりにくくなりますが、先ほど言ったように手足口病のウィルスは複数の原因ウィルスがあるため、一度かかっても他のウィルスに感染してしまう事はあります。

そのため、手足口病を繰り返すこともあります。

手足口病大人にうつるのか

そして、皆さんが知りたいことの1つである大人にもうつるかどうかですが、大人にもうつる事はあります。ただ自分のお子さんから大人にうつることがほとんどです。

感染すること自体は大人の方が少ないですが、感染したときの症状は、子供よりも重症になる傾向があります。特に足の裏のボツボツの痛みが強く痛みでなかなか歩けないこともあります。

熱も40度近く出る場合もあります。あと倦怠感、関節痛が強く出てしまうことがあります。感染力が強い時期は感染してから1週間後が最も強い期間です。

また症状が改善した後も咳や鼻水からは1から2週間。便からは2から4週間ウィルスが排出されると言われています。

休ませるべきか

保育園を休んだほうがいいですかと言う質問がよく聞かれます。まず結論としてはっきりとした決まりはありません。何故かと言うと法律の規定がないからです。

ただ一般的に言うと熱や食事が取れない場合は学校お休みにしたほうが良いです。あと先ほども言ったように、咳には1から2週間ウィルスが含まれてますので、なるべくマスク等していただいたほうがいいと思いますが、夏の時期に流行する病気ですし、かかるのは子供が多いので、現実的には難しいです。

このように登園できるかの明確な決まりはありませんので、迷うようであれば受診し医師に聞いてみてください。ただ先程も言ったように咳には1から2週間ぐらいウィルスが含まれますので、はっきりいつまでダメと言うのはなかなか言えません。

一般的に体調が悪くなくて体調が悪くない状態であれば、皮疹があっても登園して問題ないことがほとんどです。

間違えられやすい病気

鑑別疾患は水疱瘡になります。水疱瘡は1日2日で全身に水ぶくれができます。手足口病は手のひら足の裏足の甲を口周りが中心になります。

他には、手足口病は夏が多いですが、水疱瘡は季節性はそこまでありませんが、冬から春にかけてやや多いです。水疱瘡は簡単に検査できるようになりましたので、検査でわかることが多いです。

他にはヘルパンギーナと言って同じエンテロウィルスの感染症もあります。ヘルパンギーナは手足口病と同じように小さい子供を中心に夏に流行します。症状は熱が出て喉の痛みが出ます。手足口病との違いは口の中の症状のみで、手や足には皮疹ができません。

ちなみに解説した手足口病、ヘルパンギーナとプール熱という病気を加えて夏の3大夏風邪と言われます。どうでしょうか?手足口病は特徴的なあかいぼつぼつはありますが、他の症状や対処法はいわゆる【夏風邪】というのもになります。

このうえで、みなさんが疑問におもいやすいことといえば、自分の子供が手足口病になった時に自分がうつるかどうかということと、うつってしまった場合自宅ではどうすれば良いかという2点だと思うので、それについてお話をしていきたいと思います。

まず感染予防について話します。

1.手洗いの徹底

手足口病のウイルスは主に接触を通じて広がるため、こまめな手洗いが非常に重要です。エンテロウイルスにはアルコール消毒が効きにくいです!

外出先やトイレの後、食事前などに石鹸と水で手を洗い、ウイルスを効果的に除去しましょう。お子さんやご家族が手足口病にかかったときに、使ったものを消毒したいと思ったときは、アルコール消毒ではなく、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒をお願いします。

次亜塩素酸ナトリウムは市販のものもありますし、急いでいる場合はご自宅でハイターなどを希釈して使用する方法も検索すると出てくると思います。

2.清潔な環境の維持

生活空間やおもちゃなど、ウイルスが付着しやすい物や場所は定期的に清掃し、消毒することが予防に役立ちます。特に、トイレや台所、子どもがよく触れる場所は清潔に保ちましょう。消毒剤などを使用して、ウイルスの除去を心がけましょう。

3.食事について

なるべく感染している子供と食事をわけたりすることも重要です。

4.咳やくしゃみのマナー

咳やくしゃみをする際は、ティッシュや手などで口と鼻を覆い、その後すぐに手を洗うことが大切です。これにより、飛沫感染を少し防ぐことができます。

5.健康的な生活習慣

健康な生活習慣も予防には欠かせません。十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけることで、免疫力を高め、感染に対する抵抗力を強化します。

次に自宅での対処法です。

1.発熱と痛みの管理

発熱や痛みを和らげるためには、解熱剤や鎮痛剤が有効です。市販の解熱剤(アセトアミノフェンなど)を使用することで、発熱を下げ、体調を楽にすることができます。ただし、薬の使用は用法・用量を守り、必要に応じて医師に相談してください。

2.口内の潰瘍のケア

口内にできた潰瘍や痛みには、うがい薬も良いでしょう。また、刺激の少ない、柔らかい食事(スープやヨーグルトなど)を摂ると、痛みを和らげることができます。

3.かゆみや発疹の対処

かゆみの症状がでた場合は、抗ヒスタミン薬を使用することがあります。発疹がある部分に冷却剤やかゆみ止めのクリームを塗ることで、かゆみや不快感を軽減できます。発疹を掻くと、二次感染のリスクが高まるため、手を清潔に保ち、爪を短く切ることが重要です。

4.水分補給と休息

脱水症状を防ぐために、十分な水分補給が必要です。水やスポーツドリンク、薄いスープなどをこまめに摂取し、体の水分バランスを保ちます。また、十分な休息取り、体力を回復させることも大切です。

以上で、手足口病のブログは以上です。大流行していますが、病気について理解し、冷静に対処していきましょう

手足口病ページはこちら

この記事を執筆した人
生垣英之
生垣英之

信州大学皮膚科 入局
佐久総合病院皮膚科
信州大学皮膚科
長野赤十字病院皮膚科(科長)
大宮皮膚科クリニック院長
こだま皮膚科院長
古河いけがき皮膚科 開院

皮膚科診療歴20年以上。年間3万人以上の診察を行い地域医療に貢献。YouTubeでは皮膚科疾患について詳しく解説をしています。

院長
生垣 英之
診療内容
一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
TEL
0280-31-1217
※自由診療予約はweb予約をご利用ください
住所
〒306-0003
茨城県古河市緑町54-33
最寄駅
JR宇都宮線古河駅

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