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この時期多い手湿疹について

[2023.01.20]

今回は手湿疹について話したいと思います

手湿疹とは、その名の通り手にできる皮膚炎の事です。炊事や洗濯など水仕事の多い主婦などに多い疾患のため「主婦湿疹」とも呼ばれることもあります。具体的な症状としては、手が赤くなったりガサガサしたり小さい水膨れができます。

こちらの内容は動画でも解説しております。

原因

手湿疹にもいろいろな発症機序がありますが、ダントツで多いのは、刺激性接触性皮膚炎と呼ばれるものです。難しく聞こえるかもしれませんが、手はたくさんのものに触れるため、何らかの刺激によってかぶれが起きるというものです。何らかの刺激というのは、石鹸、洗剤、消毒など多岐にわたります。

手湿疹の難しさ

この病気が難しいのが、刺激を減らせば良くなるはずだから、じゃあ刺激を減らしましょうといった場合に、それをするのが難しいという事です。水仕事や家事を止めてくださいと言っても、やめられないですよね?特に新型コロナウイルスの流行以降は、手洗い・消毒が当たり前になりました。流行前は、診察の時に、手洗い・消毒はなるべくしないでください。と言っていましたが今は言えません。

ではどうするかというと、保湿剤での保護をして綿や絹の手袋をしたり、水を扱う際には、手袋の上に防水性のある手袋を2重にするといった事になります。

アレルギーですか?と良く聞かれますが

刺激性のかぶれというのは、アレルギーではありません。よく聞かれますが、なんかのアレルギーではないのですか?という質問が多いです。食べ物が影響しているのでしょうか?という質問も多いです。手湿疹というと何かのアレルギー反応だと思っている方が多いですが、実は、手湿疹に関して本当のアレルギーというのは、少ないのです。ここで言うアレルギー反応というのは、それに触れば必ず毎回、赤くなるような症状がでてしまうという事です。

 

前回は赤くなったが、今回は赤くならなかったというのはアレルギーではありません。もし、同じものを触れると毎回、手が赤くなるという場合は、アレルギー性のかぶれの可能性があります。その場合は、アレルギーの原因となるものを触れないようにしないと治りません。

ただ、特に職業柄、化学物質を含む洗剤や水を多く使用する美容師や調理師さんはなかなか難しい事が多いです。

他には、金属や手袋自体でかぶれてしまう場合があり、特にゴム手袋は多いです。その他にもたくさんあります。ご自身でしか、わからない事も多く何か思い当たる事があれば、必ず医師に相談してみてください。見ただけではわかりませんので、ご本人の情報が大事になります。

手湿疹になりやすい体質

また乾燥肌アレルギー体質アトピー性皮膚炎の人は皮膚のバリア機能が弱っている可能性があるため手湿疹を起こしやすいとされています。要するに手湿疹を起こしやすい体質の方がいるという事です。そういう方は保湿剤をこまめに外用する必要があります。

そのような方には、保湿剤であるヒルドイドやプロペトを処方する事があります。

ヒルドイドやプロペトについても以前のブログがあるので良ければご一読ください

ヒルドイドについて

プロペトについて

 

治療

治療は、刺激性のかぶれが一番多いので、刺激から逃れるという事です。ワセリンなどで保護して、綿100%の手袋や絹の手袋で保護するのも効果あります。絹の手袋は値段が高いので、綿の手袋でもいいです。

家事や水仕事で水を多く使う方は、手袋の上に防水性の手袋をする方法もあります。ただ実際にやってみると、手が動かしづらいといった事があり、現実的でない場合も多いです。これが治りにくい原因の1つです。

アレルギー性の場合

アレルギー性の場合は原因除去をしていく必要があります。

赤みや痒みが強い場合はステロイド外用剤を処方する事があります。ひび割れが強い人にはステロイドのテープ剤もあります。体質的に乾燥が強い人は保湿剤を処方します。ベトベトするからと言って、あまり塗らない方もいますが、手袋などをうまく使用していきましょう。

搔いてしまい悪化する場合も多いため、抗アレルギー剤の内服を併用することもあります。

光線療法

アトピー性皮膚炎のある方は、痒みも強く難治性である場合が多いので、当院では、光線療法と言って紫外線の免疫抑制作用を利用して、過剰反応を起こしている皮膚の症状を沈静化させる治療法も行っております。

手湿疹の鑑別

手湿疹の鑑別としては、手白癬(てはくせん)乾癬(かんせん)、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、疥癬(かいせん)などがあります。梅毒(ばいどく)の皮膚症状として出現することもあります。

この中で一番頻度が高いのが、手白癬です。

手白癬とは手の水虫です。水虫といえば、足のイメージですが、手にも感染する場合があります。真菌鏡検といって簡単な検査でわかります。当院でも疑われた場合は検査しております。なので、手がガサガサして赤くなったから何でも手湿疹というと、そうではない可能性があります。赤みやガサガサや痒みが強い場合は医療機関を受診してください。

最後に

という事で、手湿疹ついて話しましたが、元々が難治性の病気である上に最近では感染予防のため頻繁に手を洗ったり、アルコールによる手指消毒が行われるため、大人だけでなく子どもにも手湿疹が増加しています。原因として多いのは、アレルギーではなく刺激によるかぶれです。繰り返しになりますが、基本的には、先ほど言ったように刺激を避けるために、保湿剤を塗って綿や絹の手袋をしたり、水仕事の時は、さらに防水手袋をするなど地道な事が必要になります。元々アトピー性皮膚炎や乾燥肌の体質が強い人は、特に冬の季節は、こまめに保湿をしましょう。

この記事を執筆した人
生垣英之
生垣英之

信州大学皮膚科 入局
佐久総合病院皮膚科
信州大学皮膚科
長野赤十字病院皮膚科(科長)
大宮皮膚科クリニック院長
こだま皮膚科院長
古河いけがき皮膚科 開院

皮膚科診療歴20年以上。年間3万人以上の診察を行い地域医療に貢献。YouTubeでは皮膚科疾患について詳しく解説をしています。

院長
生垣 英之
診療内容
一般皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科
TEL
0280-31-1217
※自由診療予約はweb予約をご利用ください
住所
〒306-0003
茨城県古河市緑町54-33
最寄駅
JR宇都宮線古河駅

診療時間

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